究極の経営メソッド
GMとの提携発表時に、相手に飲み込まれるのではないかとの記者からの質問に対して、「GMとスズキの差は鯨とメダカ以下のあえて言うなら鯨と蚊。小さな蚊なら、いざというときには空高く舞い上がり飛んでいくことができる」と答えたのは有名な話です。
このようなしたたかな提携戦略もまた、スズキの発展を支えてきたといえます。特にGMとの提携については、「スズキがまともな小型車を作れるようになったのはGMのおかげ」とその成果を語っています。EV対応の流れの中で、今後提携は一層重要性が増すでしょう。
というわけで、
「勉強して競争しろ」
「どんなに小さい市場でも1番であるべし」
「技術力や資本力の不足を補う提携」
が、究極の「中小企業のオヤジ」を自認する鈴木氏が引退に際して世の経営者の宛てた置き土産といったところでしょうか。
よくよくこの3つのメソッドを眺めてみると、これらは成功するベンチャー経営者にも共通のメソッドであるとも思えます。生き馬の目を抜く自動車業界で、経営トップとして40余年を走ってきた名経営者のメソッドは、ある意味万能の経営術であるのかもしれないと思わされる次第です。(大関暁夫)