富士山はいつ噴火してもおかしくない! 火山灰に埋もれた遺跡が証言【防災を知る一冊】

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   9月1日は「防災の日」。1923(大正12)年9月1日に関東大震災が起きてから、もうすぐ100年になろうとしている。また、近年は9月に大型台風が上陸したり、長雨が続いたりして、各地で風水害も発生している。9月は防災、自然災害、気候変動、地球温暖化をテーマにした本を随時、紹介していこう。

   東日本大震災の後、日本列島の下では地震や火山活動が活発化している。1000年ぶりの「大地変動の時代」に入ったと見る専門家も多い。富士山は大丈夫なのか? と、心配になる。

   本書「富士山噴火の考古学」(吉川弘文館)は、古来噴火を繰り返してきた富士山が、縄文時代以来の遺跡にどんな影響を与えてきたかを考古学的に検証した本だ。いつ噴火してもおかしくないことがわかる。

「富士山噴火の考古学」(富士山考古学研究会編)吉川弘文館
  • もし富士山が噴火したら、新幹線は寸断されてしまう(写真はイメージ)
    もし富士山が噴火したら、新幹線は寸断されてしまう(写真はイメージ)
  • もし富士山が噴火したら、新幹線は寸断されてしまう(写真はイメージ)

富士山噴火に人文科学、自然科学から振り返った

   本書を編集した富士山考古学研究会は、富士山周辺の自治体の文化財に関わる考古学関係者、火山学者らが集まり、2016年に立ち上げた。富士山の噴火に起源をもつテフラ(火山灰やスコリア=礫)や土石流や溶岩流などの堆積物について多くの研究がされてきたが、十分に活用されてこなかったという反省があったという。

   それは「同じフィールドサイエンスながらも、考古学と火山学との間の風通しが良くなかったため」と杉山浩平氏(東京大学大学院総合文化研究科)は書いている。富士山のテフラは、その多くが玄武岩質であるため、国内のほかの火山で行われるような化学組成に基づいたテフラの同定が難しいことも理由の一つだという。

   第1部では、富士山の火山噴火史について、人文科学、自然科学の両面から振り返っている。1960年代になると富士山の噴火で埋没した遺跡が開発工事に伴い発見されるようになった。

   山梨県では河口湖の船津浅川宮の近くで、ホテル建設の工事の際に、弥生時代末から古墳時代前期の土器が火山礫で満たされていたことから、火山被害があったことがわかった。また、静岡県では御殿場市の長坂遺跡は噴火によって埋没した集落があったことが考古学的に裏付けられた。さらに、テフラの層の上下関係が明らかになり、考古学と火山学の接点が生まれた。

   文献には富士山噴火の記述が繰り返し出てくる。天応元年(781)、続日本紀に噴火の記述が初めて登場。奈良時代において、朝廷はその動向を重視した。平安時代末の永保3年(1083)まで7回噴火の記事は出ており、火山活動が活発だったようだ。朝廷は、その自然災害に対して鎮静化を図る方策として、祭祀儀礼を行う浅間大社(静岡県富士宮市)を位置づけている。

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