2021年9月29日(木)、自民党総裁選が行われます。事実上、野党が政権を取る可能性が極めて低い日本では、誰が自民党総裁(=内閣総理大臣)になるかが、極めて重要になります。
安倍晋三首相の政策を引き継ぐと言っていた菅義偉政権でも、変化はありました。身近なところでは携帯電話の料金、不妊治療への保険適用、デジタル庁の創設、原発処理水の海洋放出、(実現可能性はともかく)2030年の温室効果ガス46%削減目標などです。
現在、4人の立候補者がいますが、野田聖子氏の当選確率は低いと思われるので、残り3氏の経済政策を見て行きたいと思います。
高市氏が提唱する「サナエノミクス」の正体
メディアの世論調査で1番人気の河野太郎氏ですが、アベノミクスからは一番遠いところにいる感じがします。2%インフレ目標については「今の状況では厳しい」「インフレ率は経済成長の結果」。ただ、金融政策に関しては「日銀に委ねる」としています。
自民党議員で推す人が一番多いとみられている岸田文雄氏ですが、「新自由主義からの転換」を自らのキャッチコピーにしています。意図しているところは明確ではないですが、より「分配」により比重を置いた政策を進めたいのでしょう。「令和版所得倍増」計画も唱えています。ただ、基本的には従来の政策の延長になるのではないでしょうか。
興味深いのは高市早苗氏です。インフレ率2%到達までプライマリーバランスの凍結を公約しています。高市氏の真意がどの程度なのか、わかりかねますが、これはすごい。マーケットが「日本がついにMMT導入」と解釈すれば、ドル高円安になるし、株も上昇するでしょう。
MMTまで極端ではないと思いますが、シムズ理論(FTPL)ぐらいに解釈されても、円安となるでしょう。「サナエノミクス」は「スーパーアベノミクス」といえるものです。
※ MMT(現代金融理論):政府が自国通貨建ての国債をいくら増やしても財政は破たんせず、インフレもコントロールできる。税は財源ではなく、通貨を流通させる仕組みであるという考え方。
麻生太郎財務相は「日本をマクロ経済学の実験場にするつもりはない」と明確に拒否しましたが、麻生財務相の従来からの考え方でいえば、当然そうなるでしょう。よって、高市氏が自民党の新総裁となった場合、誰が財務相となるのかがポイントとなりそうです。