きょうは、50代のRさんがいらっしゃっています。
「先日、サントリーホールディングスの新浪剛史社長が『45歳定年制』を提案する発言がありましたよね。私は、すでに45歳を超えているので、若干不安を感じています。ネットの声も、賛否両論がありますよね。どちらの意見を聞いても、どちらも納得できる部分もあると感じています。 でも、もしその現実を突きつけられたら、と思うとどうすればいいのか......」
すでに年功序列が崩れていること、わかってます?
ネットで賛否の声を見てみると、こんな声がありました。
参考リンク:「『45歳定年制』賛否の声... 実力年俸&定年なし企業も」テレビ朝日news 2021年9月17日
◆ 反対の声
「結構、今30代超えても、転職とか難しいと聞くので。45歳で急に定年になって、職探すのって難しいなって、不安になります。」(35歳)
「僕ちょうど45歳なんですよ。自分で起業するのかとか、どこか転職。また、別のところに行くにしても、なかなか年齢的には厳しいから。個人的には嫌ですね」(45歳) ◆ 賛成の声
「45歳でひと段落っていう区切りが、一般的になってたら、もしかしたら、それまで頑張ることができるし」(20代)
「目標にもなりますし。改めて人生設計ではないですけど、そういうのを立てるポイントにもなるのかなと思います」(20代)
Rさんのおっしゃるとおり、賛否の声についても、どちらが正しくて、どちらが間違っているということではないと思います。
ただ、日本のこれまでの年功序列制度を、会社に対する貢献度合いと会社からもらえる報酬の関係でみていくと、一般的に会社人生の前半は、会社への貢献を下回る報酬を受け取るため給料が少なく、会社人生の後半になると会社への貢献を上回る報酬が受け取るため、給料が高くなっています。本来、60歳定年(あるいは65歳定年)までの期間で、「貢献と報酬のバランス」が取れるような仕組みになっているんですね。
ところが、定年まで道半ばの45歳で退職してしまうと、これまで会社のために働いてきた期間の努力がムダになり、「頑張ってきたのに損した気分」になることがあるのでしょう。
あなたは、どう行動するのか!
さらに、2021年4月に企業が70歳まで就業機会を確保することを努力義務に定めた「改定高齢者雇用安定法」が施行されているので、「45歳定年制」に矛盾が生じ、新浪社長のこの提案に、批判的な声が上がってしまったように思います。
誰もが「働き損はしたくはない」と思いますが、しかし数年前から、早期退職制度やジョブ型制度導入など別の形で、企業の動きは始まっています。「45歳定年制」を声高に叫ばずとも、もう流れはでき上がっているようです。
2016年に出版され、話題になった本「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略」に、衝撃を受けた方も多かったのではないでしょうか。
これまでの「教育・仕事・老後」の3段階の人生のステージから、今後は、年齢による区切りがなくなるマルチステージに突入し、学び直しや転職など人生の選択肢が多様化するというようにステージが変わっていくという内容です。
さて当時、この本を読んで衝撃を受けた人で、実際にその後、何か行動を起こした人はどのくらいいるのでしょうか。「まだ、自分の世代は大丈夫」と、いまだに思っている人も少なからずいるでしょう。
Rさんも、「焦る気持ちがないわけではないけれど、心のどこかでは、『まだ大丈夫』と思っていませんか」。もちろん、企業が社員を守ることは義務ですが、万一、会社に何かあった時に、最終的に自分は自分で守っていかないといけません。「45歳定年制」に焦るのは仕方ありませんが、情報を知って、焦った後にどう行動を起こすかが大切だと思います。
45歳からも決して遅くはない
では、45歳に近づく人、すでに過ぎている人はどう過ごしていけばいいのか――。そんな話になると思います。
「貢献と報酬」の関係に照らせば、46歳以降はこれまでの「報酬>貢献」の流れに逆らって、「貢献>報酬」となるように自分の価値を高めていくしかないと思います。今後、年功序列制度が復活することはないでしょう。会社での自分の居場所は、自分で守っていくしかないのです。
「これまで頑張ってきたので、そろそろ休みたい」。そんな気持ちはわからなくもありませんが、環境に甘えてしまうと「働かないオジサン」と言われてしまいます。Rさんもまずは自分の価値を上げていきましょう!(ひろ子ママ)