連合内部の政治をめぐる抗争が飛び火して...
芳野さんは、こんな少々変わった産業別労組の代表の一人なのだ。それにしてもなぜ、芳野さんにお鉢が回ってきたのか。主要メディアの報道をまとめると、こうだ。
今期で退任する神津会長の後任を巡っては、大混迷を続けた。まず、相原康伸事務局長(トヨタ自動車出身、自動車総連)に白羽の矢が立ったが、トヨタ労組の反対にあって断念。松浦昭彦副会長(帝人出身、UAゼンセン)もUAゼンセンが反対。最後に有力視されたのが難波淳介副会長(日本通運出身、運輸労連)だが、これも日本通運労組が難色を示して、頓挫した。
後任人事が難航した主な理由は「政治と選挙」だった。神津会長と相原事務局長らの現執行部は「野党共闘」志向といわれ、立憲民主党支持への集約を図ろうとした。
しかし、松浦副会長らの出身組織は「中道改革路線の勢力結集」を志向といわれ、国民民主党の支援を主張。特に、年末の衆議院解散、総選挙をにらみ、路線対立の権力抗争が激化して次期会長人事の混乱に繋がった。
誰が会長になっても、苦労するのは目に見えているため、それぞれの出身労組が止めに入ったというわけだ。そんな「渦中の栗」を拾わされる芳野さんとは、どんな人物なのだろうか。「救いの女神」になれるのか。
そうでなくて、連合は組合員数が2005年の約1000万人をピークに減り続けており、現在約700万人。厚生労働省の労働組合基礎調査(2020年)によれば、労働組合の組織率は17%と、長期停滞構造を示している。