資金洗浄、日本は「落第」寸前! 継続的な本人確認で「不十分」の烙印 銀行負担さらに増す

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過度な規制強化はフィンテックの足かせになる

   政府は今回の審査結果を受け、対策に本腰を入れる考えだ。審査は、金融機関の取り組みとともに、政府に対しても監督や取り締まり強化を求めていることから、審査結果発表当日の8月30日、「FATF勧告関係法整備検討室」を内閣官房に設置すると同時に、2024年までの3年間の「行動計画」を発表した。

   計画では、金融庁と日本銀行が協力し、リスクが高いと思われる取引を事前にリストアップし、金融機関が口座を継続的に監視しているかなどを調べる方針を示した。金融機関の監督強化のため、22年秋までに「対策指針」を改定するほか、テロ資金供与の懸念があるNPOに対する監視体制も整備する。

   さらに、24年春までに不正な送金の監視を複数の金融機関で行う共同システムを実用化する。各金融機関が、それぞれに実施している取引監視を共同化し、人工知能(AI)などを用いて検知を効率化する仕組みで、個々に取り組むには資金力が乏しい中小金融機関の負担を軽減し、全体の対策を底上げしたい考えだ。

   このほか、関連法令を改正し、資金洗浄の罰則強化、捜査権限の強化なども検討するという。

   対策が甘いと見られれば、日本の金融機関の海外活動に響きかねない一方、金融とITが融合したフィンテックと呼ばれる新しいサービスの振興のために過度の規制は避けたいだけに、政府は微妙な舵取りが求められる。(ジャーナリスト 白井俊郎)

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