2030年代に確実に起きる?「西日本大震災」 その被害は東日本大震災の10倍【防災を知る一冊】

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東京は「砂上の楼閣」

   日本を襲うと予測されているのは、「西日本大震災」だけではない。鎌田さんは4つの巨大地震が首都を襲うと書いている。国の中央防災会議は、首都直下で発生する自信を具体的に予想し、4つのタイプに分けている。詳しく書いているが、これだけのリスクが首都圏にあることを知ると、戦慄するしかない。

   鎌田さんは「戦後の日本が復興できたのは幸運以外の何物でもない」と書いている。それは高度成長期に、たまたま日本列島で地震が少なかったからだ。こうしたラッキーな時期は1995年で終わった。すなわち、阪神・淡路大震災以降の日本列島は、次の南海トラフ巨大地震に向けて再び地震活動期に入ったからだ。

   太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレートの3枚のプレートがひしめき合う低地に構築された首都は、地球科学的には「砂上の楼閣」という表現が最も適している、と書いている。

   東日本大震災以後の首都圏では地震活動が活発化し、震災前と比べて発生頻度は約3倍に上昇し、首都直下地震が「いつ発生しても不思議ではない」状況だという。政府の地震調査研究推進本部は、首都直下地震が今後30年以内に70%の確率で起きると予測している。

   これに加えて、日本列島の活火山は活動期に入ったことにも触れている。2014年の御嶽山噴火や2015年の箱根山噴火はその幕開けであり、東日本大震災に誘発された動きの一つだという。地下のマグマも活発になり、富士山噴火の可能性にも言及している。政府も富士山のハザードマップを公表している。鎌田さんはハザードマップをどう読むかの解説書(「富士山噴火」(講談社ブルーバックス))も書いている。

   自然災害を防ぐ最大のポイントは、「前もって予測し備える」ことであり、「自分の身は自分で守る」ことは、何度も出てくる。

   本書が書かれたのは2017年だから、もう4年過ぎている。本書では「20年先」と書いていた「西日本大震災」だが、「16年先」になってしまった。あなたは準備を始めていますか?(渡辺淳悦)

「日本の地下で何が起きているのか」
鎌田浩毅著
岩波書店
1540円

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