日鉄vsトヨタ 自動車部品向け鋼材の価格交渉、今後に禍根残す大幅値上げの決着

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日鉄とトヨタ、どちらも「強気」の構えで...

   一方のトヨタも業績は絶好調ながら、「100年に1度の変革期」ともいわれる自動車産業にあって、脱炭素、脱ガソリンの大きな流れの中で電気自動車(EV)の開発など、大規模な投資が求められる。

   鋼材の市況が低迷した時期も高い価格で購入してきたという思いもあり、唯々諾々と値上げを受け入れるわけにはいかないと、反発した。

   鉄鋼と自動車の関係は、戦前の官営八幡製鉄所時代からの長い歴史がある。長期の安定的な価格だけでなく、より強く、かつより薄く・軽くなど高機能鋼材の技術開発で力を合わせ、日本の自動車産業の競争力を日鉄が支えるという「ウィン・ウィ」の関係を築いてきた。日鉄とトヨタは、まさにその代表だ。

   今回の交渉の激しいやり取りは、今後にわだかまりを残すと危惧する声が両業界でも少なくない。日鉄の橋本社長は9月17日の鉄鋼連盟の会見で、鋼材価格について「もう一段の是正を求めていく」と明言。対するトヨタからは「海外の鉄鋼メーカーを含め、調達先の多様化も考える」との幹部の発言が伝えられている。

   短期間で取引関係を大きく変えるのは不可能だが、両社の距離は、じわじわと広がっていくことになりそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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