中国「恒大集団」超ド級の経営危機! 習近平は助けるか、見捨てるか? エコノミスト6人が分析(1)

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南アやトルコ、東欧、中南米、アジア新興国に打撃

   一方で、特に香港株式市場に深刻な打撃を与えるだろうと懸念するのは、岡三証券の シニアストラテジスト、紀香氏だ。「暗雲が垂れ込める中国不動産市場~想定すべき最悪の展開は?~」(9月22日付)の中で、こう分析する。

「恒大の株価とドル建て社債価格は共に直近3か月で7割超下落した。香港株式市場では『次の恒大』探しも始まっており、香港市場では不動産株が大きく売られている。投資家は疑心暗鬼に陥っている。また、不動産各社への融資が不良債権化するリスクが指摘されていることから、一部銀行株にも売りが及んでいる」
テーマパーク開発をアピール(恒大集団の公式サイト)
テーマパーク開発をアピール(恒大集団の公式サイト)

   一方、こうした比較的に楽観的と思えるエコノミストたちの中で、「中国におんぶに抱っこの状態だった世界経済への影響は避けられない」と、一番深刻に受け止めているのが第一生命経済研究所の主席エコノミスト、西濵徹氏だ。「中国・恒大集団問題を機にあらためて考える新興国経済~中国経済を巡る問題は世界への波及も予想されるなか、新興国・資源国への見方に慎重さが必要~」(9月22日付)の中で、次のような趣旨のことを述べている

   世界の成長の4分の1程度が中国経済に起因すると試算されるなど、中国経済におんぶに抱っこの状態にある世界経済そのものにも影響が出ることは避けられない。なかでもアジア新興国については、地域全体に張り巡らされているサプライチェーンを通じて中国経済との連動性が高まっており、中国経済の減速は輸出を通じて景気の足かせとなる。

   さらに、近年の中国は高い経済成長に伴い資源消費を活発化させてきたことから、多くの資源国にとって中国が最大の輸出相手となっている。また、国際金融市場では2015年の人民元の切り下げをきっかけに動揺の動きが広がる『チャイナ・ショック』に見舞われたほか、外国人投資家が中国本土への投資を積極化させる動きをみせてきて、中国金融市場との連動性が高まっている。

   コロナ禍を経た全世界的な金融緩和を理由に、足下の国際金融市場に流入しているマネーは過去に比べて大規模になるなど『カネ余り』の度合いは、かつてない状況にある。中国経済の減速懸念をきっかけに国際金融市場がリスク・オフ姿勢を強める事態となれば、その影響はマネーの流れの変化を通じて新興国に影響を与え得る。

   そして、西濵氏はこう懸念を示す。

「なかでも経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)が脆弱な新興国では、そうした状況に際して資金流出圧力が強まりやすい。今後も同様の事態となる可能性は想像できる。多くの新興国ではコロナ禍からの景気回復を目指して財政状況が急速に悪化している。IMF(国際通貨基金)は外貨準備高を元に国際金融市場の動揺に対する耐性を示す指標としてARA(Assessing Reserve Adequacy)を公表しているが、南アフリカやトルコ、東欧、中南米、アジア新興国の中にも適正水準に満たない国がある」

   こうした経済基盤の弱い多くの国々に、恒大集団問題が深刻な打撃を与える可能性があるというのであった。

(福田和郎)

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