米ドル円に挑んでいる早稲田大学のNAKAMURAさんが、一進一退の状況に苦しんでいる。今週(2021年9月13日週)は売りのポジションを保有したまま。明治大学の佐藤諒さんも、ドルを売りポジションを継続保有。動くに動けず、含み損が膨らんでいる。二人は、9月21日、22日のFOMC(米連邦公開市場委員会)の動向に注目する。
ファンダメンタルズを気にせず、ドル円スキャルピングで相場に挑んでいるのが同志社大学のFOXさん。今週は負けたが、「まだまだ慣れていないので、当然の結果だと思っている」と、じっくり構える。
オセアニア通貨「推し」の一橋大学のボンゴレさんは、今週はオーストラリア(豪)ドルの取引を控えて、ニュージーランド(NZ)ドルで勝負! がっちり利益を手にした。慶応義塾大学の2Gさんは、多忙のため取引をお休みした。
米ドル円で一進一退(早稲田大学 NAKAMURAさん)
FX大学対抗戦をご覧のみなさま、こんにちは。早稲田大学3年のNAKAMURAです。
前回はお休みをいただいたので、9月6日週から。損益は、9日 4時9分(GMT=グリニッジ標準 プラス0)に0.3Lot、米ドル円を売り注文。同日13時49分 (GMTプラス0)に買い決済でプラス8040円となり、残高が100万33円となりました。 今週(9月13日週)の振り返りでは、16日15時37分にドル円を0.3Lot買い注文し、未確定ですが、マイナス1万140円の評価となっています。
消費者物価指数(CPI)はコア上昇率が4.0%と予想値を下回るも、依然として高い伸びがみられ、一時的なインフレなのか疑問視する声もあります。フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は、インフレのリスクについて、「インフレの一因である半導体不足などのサプライチェーン(供給網)の混乱が長引きそうだとわかってきた。企業は半年前の計画よりも、混乱がもっと長引く前提で計画を立て始めている。賃金上昇の圧力もすぐには収まらないと感じている」としています(日本経済新聞 2021年9月13日付「緩和縮小、利上げ余地確保へ早急に着手を 地区連銀総裁」)。
また、米国の失業保険の継続受給が市場予想値を大きく下回りました。8月の米雇用が鈍かったのは、育児や介護で自宅を離れられないことや、労働供給面の問題が影響しているため、求人需要は十分であると見られている以上、9月の雇用統計で良い値が出れば、11月FOMC(米連邦公開市場委員会)でテーパリング(量的緩和の縮小)議論が進む可能性が高くなりそうです。
そして、いよいよ9月21、22日に控えるFOMCに注目が集まります 。今回のFOMCでのテーパリング表明はやはり見送られること、利上げ時期については、2022年後半から23年前半であることが予想されます。(ハーカー総裁)
チャート上では、水曜の夜(FOMC)と金曜の夜(パウエルFRB議長の発言、クラリダFRB副議長の発言)に大きな動きがある可能性があるので、注意しておきたいです。
9月9日時点、前週からの損益はプラス8040円。総資産残高は100万33円。
16日には米ドルを買い。含み損は、マイナス1万140円。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
米国のインフレペース鈍化か? と経済指標で一喜一憂しているような市場ですが、翌日に発表された米ニューヨーク連銀製造業景気指数は大きく上昇し、鉱工業生産も安定していました。フィラデルフィア連銀景況指数に小売り、住宅指標も良好。総じて米国の景気は、非常に良いと判断できそうです。
シンプルに考えて、余程のことがなければ、近くテーパリング(量的緩和の縮小)は確実に行われるでしょう。そうしなければ、FRB(米連邦準備制度理事会)の使命である「物価の安定」を維持できないことになります。
FOMC(米連邦公開市場委員会)では、FRBのパウエル議長が11月にもテーパリングを開始し得ると発言し、さらに22年半ばまでに完了する可能性があるとの認識を示し、市場の予定通りに進んでいるといえます。
前週からの損益 マイナス2100円
9月17日現在 98万9893円
売りポジションを継続(明治大学 佐藤諒さん)
先週「ドル円は動かないから止めよう」と書いたのですが、決済する理由があまりなかったので結局、売りポジションを継続しました。
その結果9月14日に米労働省が発表した8月の消費者物価指数(CPI)を受けて、ドル円は大きく下落しました。その結果一時的に3~4万円程度の含み益になりました。ここでは予想通りテーパリング議論が遠ざかり、ドル円が下落しました。
しかし16日21時30分(木曜日)に発表された米小売売上高が良好だったためと、米国10年債利回りの上昇により急上昇し、利益がなくなりました。
反省としては1ドル=109.5円付近に指値決済注文を出しておけば良かったと思いました。目先織り込んでいるとはいえテーパリング(量的緩和の縮小)の発表が近づいてくるので、気をつけた立ち回りをしたいと思います。
来週、ドル円を決済するかはわかりませんが、他の通貨も触って利益を狙っていきたいと思います。ドル円は結局レンジ内に戻ってきてしまい、テクニカルの方が効率いいのかな~と思ってしまいました。
9月10日現在の資産は、105万5000円。今週の取引は、米ドルを保有。1万円の含み損(先週から、含み損が4000円増える)。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
一時的に大きな利益が出ていたのに惜しかったですね。FX学生対抗戦はデイトレードに近い取引スパンになるかと思いますので、定期的に利益確保、損失限定のために注文を変更するなどの対策がオススメです。一定の利益が出れば、自動的に逆指値を引き上げるトレール注文などもありますので、注文機能を使いこなすという手もあります。
動かないドル円ですが、ジワリとドル高になりつつあります。テーパリング(量的緩和の縮小)開始が11月となるのは、ほぼ織り込まれているようですが、7月に111円台半ばまでありました。そのため、9月の雇用統計や物価などが良いと、そのあたりまでの上値余地はあるかもしれません。
保有する通貨 米ドル
前週からの損益 マイナス4000円
9月17日現在 104万5000円
豪州、金利据え置きで取引は手控え(一橋大学 ボンゴレさん)
前週(9月6日週)と今週(13日週)は、ニュージーランドドル(NZドル)を中心に取引しました。
大学が始まったため、夏休み期間中ほど活発に取引はできていません。チャートをこまめにみることができないので、これまで以上にファンダメンタル要素に注目して堅実に利益を狙っていけたらと思っています。
先週から今週にかけて約定された決済取引は、(1)78.1円での買い。78.3円での売り(2)78.2円での買い。78.4円での売り(3)78.3円での買い。78.5円での売り―― の3つです。それぞれ5万通貨ずつ取引したため、3万円の利益を得ました。
ロックダウンを効果的に使用した新型コロナウイルス対策で、今後の景気に期待が強まる流れは続いていると判断したため、NZドルでの取引を継続しました。NZ中央銀行はロックダウンを背景に、8月は政策金利を据え置きましたが、賃金の伸びからも10月に利上げをすると期待されているので、これからも注目していきたいと思っています。
対して、前々週にNZドルと共にオセアニア通貨として取引したオーストラリアドル(豪ドル)の取引は控えました。オーストラリア準備銀行が政策金利の据え置きとともに発表した声明では早期の利上げに慎重な姿勢を示していたので、対円で上昇しにくいのではと考えました。
来週はオセアニア通貨と関係の深い中国のニュースに注目して取引をしたいと考えています。中国での消費減少や不動産需要の低下がどのような影響を与えるのか、慎重に判断できればと思っています。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
恒大集団について、ほとんど触れていなかったため、コメントしておきます。
負債規模30兆円、中国不動産最大手ということで、第2のリーマン・ショックというヘッドラインも目立ちます。従業員数12万人超のため、それなりにインパクトもありそうです。しかし、筆者は全くそうではないといえます。そもそもリーマン・ブラザーズは、大量の金融商品をレバレッジが掛かった状態で保有していました。恒大集団の多くの債務者社債と取引先への支払いで、レバレッジは掛かっていません。バブルといえば不動産という点は、リスクですが、現代版中国文化革命ともいわれる習近平氏の現在の政策を見ると、不動産市場への規制は自然であり、むしろバブル的相場を押さえるための方向性としては正しくも見えます。そして、今年2月に航空大手のハイハンが破たんし、その負債総額が20兆円規模にものぼっていますが、これが果たしてマーケットで話題になったでしょうか?
もちろん、連鎖的に破綻が続くとリスクが高まりますが、今のところ「対岸の火事」で火の粉が飛んできているレベルに見えています。
前週からの損益 プラス3万円
9月17日現在 127 万7420円
神奈川県出身。
最近、ニュースをチェックしていない(同志社大学 FOXさん)
◆ 今週(9月13日週)のファンダメンタル
今週は為替に影響するような、あまり大きなニュースはない印象で、中国のデフォルトのニュースくらいだった。もう少しあるのかもしれないが、最近はスキャルピング、つまり秒や分という時間軸でトレードしているため、ニュースをしっかりチェックすることがなくなってしまった。なので、ファンダメンタルへの理解が少し浅くなってきた。
◆ 今週の取引
ただ、ファンダメンタルへの理解が少し浅くなってきたことは、逆にいい傾向だと思っている。スキャルピングを真剣にやるとなった場合はニュースを見るよりも、生の相場を見続けたほうが経験になると思っている。そのため、できるだけチャートを見て、相場観を養っている状態だ。まだ探り探りの状態で取引しているので、ロットはあまり張らずに行っている。トレード結果は以下のとおりだ。
13日(月)マイナス5pips
14日(火)マイナス10pips
15日(水)プラス4pips
16日(木)マイナス5pips
17日(金)プラス5pips
合計で、マイナス11pipsとなった。まだまだドル円スキャルピングには慣れていないので、当然の結果だと思っている。
ただ、取引ごとに通貨量を変えた結果、利益を出した取引の量が大きかったことでプラスを確保できた。総資産合計は108万7020円。
この連載が終わるまでには形にして、勝てるようにしていきたい。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
前回、米ドル円の「秒スキャ分スキャ」にチャレンジすると宣言していたFOXさんがどのような取引をするのか、個人的に非常に楽しみでした。トントンの結果となり、検証真っただ中というところでしょうか。
スキャルピングトレーダーの中には、2つの相場で戦うタイプに分けられます。
動かない相場で、2、3銭をコツコツと狙うタイプ。市場の入り時間や経済指標の発表直後など、動きのある時に飛び乗ったり、逆張りを狙うタイプです。そのどちらが得意となるのか、是非検証してみてはいかがでしょうか。一見、まったく違う相場ですが、メリハリを付けること最大リスクを管理する点は同じです。逆張りを行った際に、ダラダラと引っ張ることは避け、エントリー前には入口と出口を決めておくことがポイントでしょうか。残り2か月でどんな運用となるのか、期待しています!
前週からの損益 プラス3940円
9月17日現在 108万7020円
福岡県出身。
◆ 今週は多忙のため、お休みします(慶應義塾大学 2G)
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
9月17日現在 111万4000円
◆100万円増額計画 FX大学対抗戦のルール
・元本100万円のデモトレードです。
・通貨ペアはクロス円取引とします。
・レバレッジは25倍を上限(法令に基づく上限)とします。
・取引の過程で資産が「ゼロ」(元本割れ)になった場合は、その時点でリタイアとなります。
・順位は、11月26日時点の運用損益で決めます。