「高すぎる!」アプリ開発者が不満を漏らす「アップル税」 手数料徴収の仕組み改善へ

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公取委が重視する「公正な取引」の意味

   手数料負担を嫌う開発者の多くは、アプリ内でコンテンツをあえて買えない設定にして手数料を回避している。その代表が米アマゾン・ドット・コムで、アイフォーン向けの電子書籍アプリ内では購入できないようにしており、消費者はパソコンのブラウザーなどでアマゾンのウェブサイトを訪れて電子書籍を購入する必要があった。

   2022年からアマゾン利用者はアプリからワンタッチで購入サイトに飛べるようになり、使い勝手は改善する。

   もちろん、利用者が払う利用料などの金額は、アップストアを通そうが外部で決済しようが変わらないので、事業者間の取り分の問題ではある。とはいえ、アップルに「吸い上げられていた」分の一定部分がアプリ開発業者に残ることで、新たなアプリ開発やサービス向上につながる期待はある。これが、公取委が重視する自由な競争、公正な取引の意味だ。

   ただし、中小のアプリ開発業者は、自前の決済システムを整える余裕は乏しいとみられ、アップストアに並ぶことによる宣伝効果も考えると、引き続きアップルの課金システムに依存することになるとみられる。

   今回の利用規定の改定はリーダーアプリに限られ、手数料収入の多くを占めるとされるゲームアプリは対象外で、引き続き、外部への誘導は禁止される。米調査会社によると、20年のアップルのアプリ販売額の3分の2はゲームだ。

   ゲームアプリについては、係争中だったエピック・ゲームズがアップルを訴えた訴訟で、公取委の発表直後の9月10日、米カリフォルニア州の連邦地裁は、課金ルールについてはカリフォルニア州の不正競争防止法に違反するとして見直しを命じた。

   アップルのアプリ配信事業が競合企業の参入を阻害する「独占」にあたるとのエピックの主張は退け、いわば「痛み分け」の判決になり、上級審で論戦が続くことになる。

   この問題では米司法省なども独禁法違反の疑いで調査を進めている。アップルのようなネット上の取引の場を提供するプラットフォーマーの市場支配力は強く、たとえば取引条件を交渉で改善する余地がほとんどないことなども問題視されている。

   今回の公取委との合意は確かに前進だが、「アップル包囲網」が弱まることはなさそうだ。(ジャーナリスト 白井俊郎)

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