地銀改革
そんな地銀だが、行政も地銀も、指をくわえてみているわけではない。行政は改革を手助けする仕組み・環境づくりを、地銀はそれらを活用、更には他の民間企業と組みながら改革に着手している。
行政中心に整備された・今後整備される改革を手助けする仕組み・環境づくりは概ね以下のとおりだ。
●日銀は経営統合する地銀に上乗せ金利を支払うと発表。金融庁も統合費用の一部を補助する
●同一地域の地方銀行同士の合併に独占禁止法を適用しない特例法
●銀行の事業会社への出資制限や業務範囲規制の緩和
●地域のニーズや地元からの要請があれば、銀行は保有する不動産の大部分を外部の事業者に貸すことができる
経営統合は、各種報道のとおり、各地で進んでいる。EC、商社、人材紹介、コンサル、投資会社など多くの業態に進出もしている。直ぐにでも立地を活かし、収益への貢献が期待できる不動産の賃貸は興味深い。
一方で、経営統合は経費の負担を減らし、多少のシナジー効果が見込めるにとどまり、持続的な成長には別の戦略が必要だ。新事業の進出も『山口フィナンシャルグループ 吉村猛会長解任 臨時取締役会で』(NHK 2021年6月26日付)騒動のように理解を得る必要があるし、新事業が収益に貢献する保証はない。不動産に至っては、情報量・資金量・立地の面から不動産業界が難色を示す。
こうみると自力での改革は難しいようにみえる。そこに手を差し伸べる形や手を取り合う形の改革の選択肢もある。
●同業大手との連携「SBIとりそな」
●異業種との連携 IT分野をはじめ、全く異なる業種とも
●他地銀との連携 「TSUBASAアライアンス」
SBIやりそな以外にも大手証券会社と組むなどの例もみられる。また、日本郵政グループの全国にまたがる緻密なネットワークの郵便局と連携する動きもある。ただ、『ノジマ社長、スルガ銀副会長を退任 経営対立、資本提携見直しへ』(時事通信2021年05月27日付)のように対立につながるケースもあり、連携の歩調が合うかどうかが焦点となりそうだ。