アスクル株が4.6%高、コロナ禍の追い風続く、増収増益 1Q決算受けて買い集まる

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筆頭株主ZHDと連携して個人向けを強化

   アスクルが近年力を入れているのが個人向けだ。ヤフーなどを擁する筆頭株主Zホールディングス(HD)との連携を深め、2021年6月には「LOHACO本店」をヤフーの提供するシステムに移行し、新本店としてリニューアルオープンした。

   集客、決済などのサイト運用にZHDの基盤を活用することで顧客拡大とコスト削減を図る。リニューアル当初は販売促進活動を抑制したため売上高が前年割れしたが、ヤフーやソフトバンクと連携した大型販促を再開した結果、8月に再成長軌道に乗り、同月の売上高は前年同月比10.7%増を記録した。

   アスクルは1993年に文具メーカー、プラスの中小企業向けカタログ通販事業としてスタート。97年に分社し、2012年の「LOHACO」の立ち上げを機に旧ヤフー(現ZHD)と資本提携した。21年5月20日時点の筆頭株主ZHDの持ち株比率は44.94%で2位プラスが10.08%。個人向け事業が軌道に乗らないことなどから、ZHDは2019年、プラスで事業を担当していて、そのままアスクル社長に就いた実質的創業者といえる岩田彰一郎社長(当時)を株主総会で退任させるという強硬手段に出て、ZHDが経営の主導権を完全に握り、今日に至る。

   コロナ2年目の第1四半期はひとまず増収増益となったが、8月の単体売上高で法人向けが前年同月比2.3%減とマイナスに転じたといった不安材料もある。ZHDと強く連携する個人向けの伸張が今後の業績改善のカギを握りそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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