リアルとオンラインでこれだけ違う! 「予備調査」と「カットイン」で躓かない方法(藤崎健一)

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ターゲットの会社にとって有益な情報は?

◆ 過去の名刺交換先へ業界関連のニュースを毎月お届けし懐に入り込んだ事例/p>

   食品工場の建設を専門にする建設会社A社の事例です。

   工場建設には多大の投資が必要となるので、意思決定者は設備を管掌する役員または工場長です。従来は展示会への出展をしたり、年に数回リアルのセミナーを開催したりして、見込ありそうな新規のお客様へ営業が接触を試みてセールス機会につなげていました。しかしコロナ禍になって、展示会は軒並み中止。セミナーも開催できなくなり、新規のお客様とリアルで接点をつくること自体が難しい状況になってしまったのです。

   そこで、新たに始めたのが「業界関連ニュース」のメール送付です。まず手始めに「予備調査」としてしたことは、ターゲットとなる食品製造会社にとって何が有益な情報になるのかを検討し、その情報を集めて「営業知識」として蓄えました。そして、それらを小出しにニュース記事に仕立て上げて、今まで展示会やセミナーで名刺交換した方々宛に定期的にメールでお届けし始めたのです。

   A社が食品製造会社向けに「予備調査」で収集すべきと考えた「営業知識」は、相手先情報ではなく、「食品衛生法」の改正に伴うHACCPに関する情報、食品業界の動向やニュース記事など、主に相手先の周辺情報でした。これらを徹底的に収集して、定期的にメールでお届けするサービスを開始したわけです。配信頻度は毎月1回です。

   集めた情報は基本的にネットで収集できるものなので、どれも食品製造会社ならば知っている情報ではないのかと思われがちですが、ターゲット企業の担当者は自分で調べなくてもA社がメール配信する調査情報を見れば、業界の最新動向を知ることができるという点が、受け手のメリットになるわけなのです。

   これを続けることでA社はターゲット企業への接触の量と頻度を上げることができ、相手先との間に「カットイン」効果が得られて親近感が増すと同時に、自社業界に精通しているという信頼感も生まれるようになるのです。

大関 暁夫(おおぜき・あけお)
株式会社スタジオ02 代表取締役 企業アナリスト
東北大学経済学部(企業戦略論専攻)卒。1984年、横浜銀行に入行。現場業務および現場指導のほか、出向による新聞記者経験を含めプレス、マーケティング畑を歴任。全国銀行協会出向時には対大蔵省(当時)、対自民党のフロントマンも務めた。中央林間支店長に従事した後、2006年に独立。銀行で培った都市銀行に打ち勝つ独自の営業理論を軸に、主に地域金融機関、上場企業、ベンチャー企業のマネジメント支援および現場指導を実践している。
メディアで数多くの執筆を担当。現在、J-CAST 会社ウォッチ、ITメディア、BLOGOS、AllAboutで、マネジメント記事を連載中。
1959年生まれ。
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