「荷物の受け取りをするだけ」が怖~い詐欺に
【事例3】荷物の受け取りの代行をしたら、自分名義でスマートフォン6台を購入されていた
「SNSで仲良くしている知人から、報酬がもらえる荷物の受取代行のアルバイトを紹介された。教えられた申込み先に連絡し、身分証明書を送るように言われ、住民票と電気料金の領収書の写真を撮って送った。担当者とチャットでやりとりし、私の名義で携帯電話やサプリメント、掃除機等を購入するので商品が届くが、それらを指定された住所に転送するよう指示された。
『請求書は基本的に届かないが、もし届いたら商品と一緒に送付するように』と言われた。商品が届き始めて指示通りに転送し、報酬として6万円を受け取った。しかしその後、携帯電話会社3社から私宛に請求書が届き、自分名義でスマートフォン6台を購入したことになっていた。担当者に連絡しようとしたが、連絡が取れない」(2021年3月、20歳代女性)
これは「荷受代行」「荷物転送」と言われる典型的な詐欺だ。絶対に引き受けないように。荷物の受け取りを代行し、転送するというアルバイトを装っているが、裏の目的はあなたの名義で不正に何台も携帯電話を購入することにある=下図参照。その携帯電話がいろいろな犯罪に使われるわけだ。
あなたのところには、携帯電話の購入費と使用料の請求がくることになる。
さらに、あなたが携帯電話会社に料金を支払わないまま強制解約になると、今後携帯電話会社と契約をする際に不利益が発生する。特に端末代金が分割払いにされている場合、信用情報機関に事故情報として登録されてしまう恐れがある。「ブラックリスト」に載ると、なかなか新規契約などができにくくなるのだ。
国民生活センターでは、こう注意を呼び掛けている。
「来年4月からは民法の改正によって、『18歳で大人』になります。未成年者は、契約をするにあたって親権者の同意を得なければならず、これまでは同意を得ずに結んだ契約は取り消すことができました。しかし、大人になると、原則として一方的にやめることはできません。インターネット上にはさまざまな副業・アルバイトに関する情報が掲載されていますが、始める前に必ず家族や周りの人に相談するようにしましょう。これまで以上に、慎重に行動してください」
(福田和郎)