テレビの天気予報でおなじみ、平井信行さんが教える防災情報【防災を知る一冊】

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

垂直避難は最後の手段

   「第3章 自然災害から身を守る方法-瀬戸際の判断」には、瀬戸際の判断として、「早めの水平避難」を勧めるが、周囲が悪化した場合や夜間の避難はかえって危険なので、2階以上へ「垂直避難」としている。「水平避難」と「垂直避難」の分かれ目は、「膝まで水が来たら『水平避難』しない」ことだ。

   しかし、「第4章 自然災害の事例」では、気象庁が「平成27年9月関東・東北豪雨」(2015年)と命名した記録的な大雨の際は鬼怒川が氾濫後に大雨の特別警報が発表されたことを重視。「『垂直避難』は、最悪のケースでの避難方法」として、あくまでも、早めに安全な避難所への「水平避難」を呼び掛けている。

台風で水かさが増す河川(写真はイメージ)
台風で水かさが増す河川(写真はイメージ)

   「第5章 防災教育の実践例」では、平井さんが実際に行っている防災教育について説明している。自分の夢を実現するには、まず「自分の命を守る」ということを理解してもらうことが大切だという。平井さんが住む埼玉県春日部市を例に防災教育の構成を示している。

1 あなたの夢は? 夢の実現のために、自分の命は自分で守る
2 あなたの地域の天気の特徴は? 自分の住んでいる地域の天気や気象の言葉を学ぶ
3 あなたの地域では昔、どんな災害があった? 自然災害碑や地名などから、自分の住んでいる地域の過去の気象災害を知り、気象災害は繰り返し起こることを学ぶ
4 気象災害から身を守るためにはどうしたらいい? とっさの避難法、気象情報タイムライン、ハザードマップなどでの避難へ備える方法を学ぶ

   学校での防災教育を待たずとも、家庭で親から子どもに伝えてもいい内容ではないだろうか。

   ここでは、おもに大雨について取り上げたが、本書では地震や津波、台風、高温、低温など気象全般を取り上げている。平井さんがテレビの天気予報に登場するのは短い時間だが、その裏にはこうした蓄積があることを知り、ますます信頼感が増したような気がする。(渡辺淳悦)

「平井信行の気象・防災情報の見方と使い方」
平井信行著
第一法規
1980円(税込)

姉妹サイト