ビットコインの価格が大きく崩れた。他の暗号通貨も軒並み下落。暴落の要因を学生トレーダーは、ビットコインを法定通貨に認めたエルサルバドルの動向によるものとみている。2021年9月7日、混乱のスタートを切ったことが伝えられている。
ビットコインを保有する北海道大学の渡部真人さんは、その影響をモロに被った。リップルを保有する明治大学のakiさんも例外ではない。二人とも、悔しい負けだ。
「日本でも、いつか値札に『円』といっしょに、『BTC』などの暗号通貨の単位が書かれるようになる日がくるかも......」(akiさん)
慶応義塾大学の1028さんは、今週も多忙のため、取引をお休みした
ああぁ...... ビットコイン暴落(北海道大学 渡部真人さん)
前週(8月30日週)、暗号通貨の急騰時には売るのが早すぎてさらなる利益を損ねたが、今週(9月6日週)は欲を出し過ぎて損失を出した。「もうはまだなり、まだはもうなり」という投資の格言をしみじみと感じる。
ビットコインは、9月6日には570万円台ほどまでのぼり、600万円突破もあるかという観測もあったが、現実はそうは甘くなかった。翌7日になると暴落。最初520万円台で500万円を下回りはしなかったが、その後大きく上がる気配は見えず、9日~11日には500万円を下回る時が見られた。
現在9月12日は500万円に戻っているが、下回ってもおかしくはない。私の買ったネムも暴落の例外ではなかった。7日までは512円とプラス617円の利益を出していたのだが、現在は403円とマイナス1008円の損失だ。「まだ上がるかな」という前週の悔しさから欲を出した結果だ。
暴落の原因は、主にエルサルバドルでのビットコイン法定通貨の施行によるものだろうか。9月7日より、エルサルバドルでは暗号通貨であるビットコインが法定通貨となった。初日からATMやウォレットでの不具合が発生。混乱のスタートを切ったが、法定通貨による価格の乱高下に嫌気がさしたのかもしれない。
通貨、お金の真骨頂はやはり「共同幻想」だ。エルサルバドルの中央銀行が発行しているわけではないため、金融政策や財政政策はとれない。エルサルバドルの人たちがどれほど使っているかはわからないのだが、法定通貨となり資金の呼び込み狙いで国民は税金などの支払や送金に使えたりする以上、ハッカーたちの標的の的になるのではないか。
法定通貨となれば、ビットコインを盗むものにとってリターンの心理は大きいだろう。絶対に取り返さないといけないからだ。エルサルバドルは十分なセキュリティ対策を取れているのだろうか。
政治に立ち入った話になってしまったが、厳しい状況だ。先週紹介したポルカドットは優等生で持ち直しているが、リスクは持ち直し気配が今のところ見えない。1200円に達したらロスカットだ。
しかし、今回の暴落は教訓になった。日本では選挙があったり、米国でも余った資金が株式などに向かっていたりしていると捉えている。ロスカットした場合、しばらく様子見か。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
エルサルバドルでは、公式ビットコインウォレットがリリースされ、ATMもかなりの数が配置されるなど、インフラ面が急速に進んでいるようです。ただし、ビットコインが何なのか、どうやって利用するのか、なぜ役に立つのかなどといった教育が浸透していないことは明らかのようです。法定通貨化に反対の割合は圧倒的に多く、反対運動も各地で起こっているようです。ブケレ大統領の動向を見る限りは、そういった声に耳を傾けている様子はなく、初動は失敗しているのではないかと感じています。
急落ではアルトコインが半値ほどに売られる場面も見られており、こういった時に売り込まれるアルトコインの反発は今後の弱いのではないでしょうか。
保有する暗号通貨 ビットコイン
前週からの損益 マイナス1008円
9月10日現在 6797円
リップル、追加購入しなければ......(明治大学 akiさん)
こんにちは。akiです。
今週はリップルが一時150円台に上がりましたが、週末には120円台に下落し、前の取引で追加購入した分、マイナスになってしまいました。現在の総資産は1万1522円です。今週はこのまま様子見でポジションを持ち越そうと思います。
下落してしまったリップルですが、国内で新しく現物取引にリップルを取り扱うところが増えるそうです。国内暗号資産取引所「TAOTAO」では、9月22日のメンテナンス後16時からリップルの取り扱いが開始されます。「TAOTAO」の現物取引は、ビットコインとイーサリアムの2銘柄を取り扱っていましたが、今回新しくリップルが追加されます。
また、ライトコインとビットコインキャッシュがレバレッジ取引の銘柄として追加され、同社では5銘柄のレバレッジ取引ができるようになるそうです。
もう一つの気になるニュースは、以前取り上げたエルサルバドルについてです。エルサルバドルではビットコインが法定通貨として採用されました。同国では米ドルが主に使われていますが、今回の採用で米ドルに加えてビットコインが使えるようになりました。
この1週間で持っていたリップルが1800円から300円弱下落したことからもわかるとおり、暗号通貨の価値は常に変動しており、他の金融商品に比べても値幅が大きく資産として積み立てるのにはリスクが大きいと思いました。
ビットコインの価格はリップルほど顕著ではありませんが、価値の変動が大きく「昨日まで買えたものが買えない」ことが起こり得るでしょう。エルサルバドルの事業者はビットコインによる支払いを受け入れることが義務付けられていますが、ビットコインでの支払いはあくまでも選択肢の一つであり、採用後も主に米ドルが使われ続けるのではないでしょうか。
日本ではほとんどすべてのお店で日本円しか扱っていませんが、いつか値札に「円」といっしょに、「BTC(ビットコイン)」などの暗号通貨の単位が書かれるようになる日がくるかもしれませんね。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
リップルには明るいニュースがあります。9月3日に、SBIホールディングスが国内初の暗号資産ファンドを設立すると発表しました。11月をメドに募集をはじめ、その規模は最大で数百億円規模となる模様です。「SBIといえば、リップル」ですから、運用開始の前後では期待が高まることが予想されます。
また、仮想通貨全体では13日にはウォルマートのライトコイン(LTC)決済報道(直後に否定)で相場が5%ほど跳ね上がる場面がありました。アマゾンなどのEC大手が仮想通貨決済を受け入れる可能性があり、このあたりも相場を押し上げる材料となりそうです。
保有する暗号通貨 リップル
前週からの損益 マイナス317円
9月10日現在 1万1522円
◆ 多忙のため、取引をお休みしました(慶応義塾大学 1028)
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
9月10日現在 1万7円
◆ 大学対抗 1万円からはじめる暗号通貨バトルのルール学生投資連合USIC
・元本は1万円です。
・投資する暗号通貨の選定は自由です。ただし、国内で購入できる暗号通貨に限ります。
・レバレッジは、かけられません。
・20%を超えて下げた場合は、強制的に取引を停止(ロスカット)します。
・元本割れは1回まで。リベンジ(再投資)可能ですが、2度、資産(合計で2万円分)を失った場合は、その時点でリタイアとなります。
・順位は、11月26日時点の運用損益で決めます。
「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
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