今週(9月6日週)の暗号通貨市場はビットコインをはじめ、軒並み乱高下した。2021年9月7日、エルサルバドルでビットコインが法定通貨になったことで、上昇トレンドが継続するとの見方があったが、翌8日に一変した。
そうしたなか、これまでじっと様子見を決めこんできた同志社大学のしがないトレーダーさんが動いた。ビットコインの暴落に、「今後は5万ドルに回復していく」と読み、500万円付近に指値を入れた。暗号通貨バトルが終わるまで持ち続ける予定という。
イーサリアムを保有する明治大学の城正人さんは、「もう利益を確定してしまいたいと何度も考えた」結果、継続保有を選んだ。職業能力開発総合大学校のさっちんは、下落基調のタイミングでビットコインを購入。保有したまま越週した。
大きな含み益からの急降下!(明治大学 城正人さん)
今週(9月6日週)の暗号通貨市場は、全体的に軟調な展開となりました。アルトコインの中には5月の最高値を更新する通貨もあり、暗号資産全体の時価総額も2.3兆ドルを超えていました。
エルサルバドルでビットコインが法定通貨になったことで、この上昇トレンドは継続するであろうと思った、そんな矢先のこと、今度は急激な暴落が襲いました。
今回の下落は2段階で起こりました。
まず一度目の下落。タイミングがエルサルバドルの法定通貨化の直後であったために、利益確定の売りが入ったのではないかと考えられました。しかし、ここまで売られるものか? と不思議に思っていました。
目立った他のニュースも特に見当たりませんでしたが、数時間後に出たニュースで下落はさらに大きくなっていきます。そのニュースとは「SEC(米証券取引委員会)がCoinbaseに対しWells Notice(法的措置を取る可能性があることを通知するもの)を発行した」というものです。
SECが問題視しているのはCoinbaseが、今後提供する予定だという「Lend」(貸し暗号資産)についてで、証券に該当する可能性があるとのことです。
米国では、1933年に証券法が制定されており証券に該当するものはSECに届け出を行う必要があります。実際にリップル(XRP)が証券に該当するか否かの争いは長きにわたって行われています。Coinbase側は全面的に反発していますが、「先に情報が漏れていたのではないか」というガバナンスについても今後問題となるのではないでしょうか。
大人気の取引所Coinbaseでレンディングが用意されたとなるとニュースとしてのインパクトは大きいでしょうし、新規参入してくる人も増加するでしょう。しかし、今回のCoinbaseでのレンディングが認められなかったとしても、DeFiプロトコルとしてレンディングサービスを提供するものはさまざまありますので、今のところ市場に与える影響は限定的だと考えます。
しかし、どうやらDeFiについても規制を始めようと検討しているようです。実際に規制するとしたらどう規制を行うのか、その規制に実効性はあるのかなど疑問は尽きませんが、こちらの動きについてはしっかりとウォッチしていく必要があると思います。
◆ 実際にどう取引したのか
今回の下落には早い段階から気づいていました。しかし、一度目の下落の際には、どうしてこんなに売られているのか、わからない状態であったため取引は見送りました。二度目の下落の際には「もう利益を確定してしまいたい」と、何度も考えました。そして、おそらくすべきであったと思います。
結論としては売却せずに静観し、上昇を待とうと思っているのですが、なかなか上昇してきません。先週上昇し大きく利益を伸ばした分をすべて取り戻す形となりました。非常に残念です。
取引なし。2127円の含み損。
総資産は1万5678円(イーサリアムが0.035ETH。プラス2755円)。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
エルサルバドルのビットコイン法定通貨化のタイミング(9月7日)に、材料出尽くしとなり相場が天井を打つことは非常に想像しやすいところでした。事実、今年のビットコインの高値はコインベースの上場という大型イベントの日であることから、同じパターンが繰り返されることは容易に想像できました。
そんな売られやすいところで「コインベースがSEC(米証券取引委員会)から提訴」というヘッドラインは、投げ売りを誘発するには十分だったのではないでしょうか。ただ、高値から20%程度で反発し、上昇トレンドは維持されています。15日には早くも下げ幅の半値戻しを達成し、城さんの保有するイーサリアムはビットコインよりも強い動きとなっていることから、「良い押し目」となった可能性がありますね。
保有する暗号通貨 イーサリアム
前週からの損益 マイナス2127円
9月10日現在 1万5678円