今週(2021年9月6日週)の米ドル円はレンジ相場。「本当に値動きがありませんでした」と漏らす明治大学の佐野諒さんは、それでも果敢に米ドル円を売りでエントリー。9月3日に発表された米国の雇用統計でテーパリング(量的緩和の縮小)期待が後退したところを狙ったが、うまくいかなかった。現在も保有中。
慶応義塾大学の2Gさんは、「米ドル関係で良い材料を見つけられなかった」と様子見。同志社大学のFOXさんも取引はお休み。勝っているトレーダーの取引ぶりを調べる時間に当てた。そこで見えてきたのが......。次週以降に期待したい。
早稲田大学のNAKAMURAさんは新型コロナウイルス感染症の2度目のワクチン接種後に体調を崩した。一橋大学のボンゴレさんも体調がすぐれず、お休みした。
良い材料が見当たらず......(慶応義塾大学 2Gさん)
FX大学対抗戦16週目。今週(9月6日週)は結果的に取引しなかった。米ドル関係で良い材料を見つけられなかったので、今週はチャートを見て情報の整理に勤しんだ。さて、今週の流れと今後の動きを整理した。
◆ 今週の流れ
9月6日週は、調整色の強い1週間だった。米国の株式市場が下落。高値警戒感が広がった。外国為替市場では、先週までのドル安の流れからの買戻しが優勢となった。3日に発表された米雇用統計で、非農業部門雇用者数の増加ペースが予想外の鈍化を示したこと、週明けの米加市場がレーバーデーの休場だったことなどが週明けのマーケットで調整を促していた。
また、9日(木)のECB(欧州中央銀行)理事会でのタカ派姿勢への警戒感が株安につながった面もあった。そのECB理事会ではPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)の債券購入ペースをゆるやかに縮小することが発表された。ただ、ECBのラガルド総裁の会見では、あくまでも微調整であり、テーパリング(量的緩和の縮小)ではないことが強調された。
週前半はドル買いの動きで109円台後半から110円台前半へと上昇。しかし、110円台半ばは重く、週央からは売りに押されて109円台後半へと下落。落ち着きどころを見出しにくい神経質な展開が続いた。
◆ 今後の動き
9月14日に、8月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。事前予想は7月から、わずかに鈍化も前年比が3か月連続での5%台になるなど高水準が見込まれている。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコアは前回と同水準の見込みである。
8月末のジャクソンホール会議でFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が年内のテーパリング開始を示唆した。その背景には物価上昇が継続していることがあり、FRBは現状の高い物価水準を一時的なものであるとする見方を崩していないが、地区連銀総裁を中心に警戒感が広がっており、高水準での債券購入を続ける量的緩和への不満が見られる。
こうした中で物価統計への注目度も高まっており、今回のCPIも注意が必要だと考えられる。
テーパリング開始の本命は11月のFOMC(米連邦公開市場委員会)だが、今月発表された8月の米雇用統計での非農業部門雇用者数の伸びが予想をはるかに下回ったことにより一部で見られた、年内のテーパリング開始という計画に変更があるのではとの思惑を打ち消す材料にはなる可能性もある。基本的には高い結果が出ればドル買いという動きが期待される。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
米国の雇用はともかく、住宅価格高騰などの悪影響を与えているMBS(不動産担保証券)の買い入れを考えると、すでにここだけでもテーパリング(量的緩和の縮小)すべきだと多くの市場参加者は考えています。年内がほぼ確実になり、市場予想が11月コンセンサスになっても上値が重い同園を見ると、下落する可能性が高いのではないかと思えてきました。
思えば、バイデン米大統領になると、強烈な経済政策を行いドル安になり、90円台に突入するといわれていました。実際に、市場予想をはるかに上回る規模の制作が発表されましたが、ドル円は100円を割り込みませんでした。
テーパリング開始が事実売りとなる可能性を考えると、1ドル=105円割り込むような円高となるシナリオも見えてきます。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
9月10日現在 111万4000円
ファンダメンタルズはすぐに織り込まれる(明治大学 佐藤諒さん)
今週(9月6日週)は米ドル円をショート(売り)していました。まだ決済しておらず、保有しています。先週金曜日(3日)に発表された米国の雇用統計でテーパリング(量的緩和の縮小)期待が後退したことによる、金利の低下、ドル円の下落を狙ったのですが、うまくいきませんでした。発表時点で完全に織り込まれたようです。
その結果今週のトレードは1回のみで、現在も保有中。現在はマイナス6000円です。本当に値動きがありませんでした。
下の画像は、ドル円の日足チャートです。8月中旬からレンジ相場になっています。
この反省を生かして、次週からは米ドル円など安定した通貨を避け、英ポンドやオーストラリア(豪)ドル、ユーロ円をトレードしていきたいですし、またチャート図のプライスアクションを重視したトレードに戻したいと思います。
自分には、やはりファンダメンタルはすぐに織り込まれるため、あまり参考にならないと思いました。頑張ります。
今週の取引は、マイナス6000円(含み損)でドルを保有中。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
週明けのドル円は8月半ば以来に109円前半に下落しました。9月15日には、日足のボリンジャーバンドの-3σを12月17日ぶりに下抜けることとなりました。依然として、レンジ相場の範囲内ですが、雰囲気は怪しくなっていることが分かります。
一部では、中国の不動産大手である恒大集団のデフォルト懸念により円高が進んでいるとの見方もあるようです。16日には、同社の全社債取引が停止となり格下げ(AA→A)も行われました。すでに、主要債権銀行には9月20日が期限の利払いは実施されない見込みだと伝えられています。今のところ負債は9兆円を超えているそうですが、中国株が大した下落となっていないことから、今のところは頭の片隅に置いているくらいで良いのではないかとみています。
保有する通貨 米ドル
前週からの損益 マイナス6000円
9月10日現在 104万9000円
投資手法を切り替える!(同志社大学 FOXさん)
◆ 今週(9月6日週)のファンダメンタル
特に動きはなく、米ドル円もほぼ横バイの展開となった。
◆ 投資手法の切り替え。
今まではスキャルピングかスイングでの取引。そして、英ポンド円のロンドン時間の1分足スキャルピングを使っていたのだが、だんだんと通用しないことがわかってきた。確率的に考えてトータルプラスになるのかもしれないが、取れる時と取れないときのムラが激しく、リスクリワードがあまり良くないということがわかった。
今まで半年間、自分は相場を見て、取れそうなところを取引していたつもりだったが、一回原点に戻り、勝っているトレーダーはどのような取引をしているのか。それを調べる1週間となった。
そこで見えてきたのが、米ドル円の「秒スキャ分スキャ」だ。自分が調べた中で本物だと思えるトレーダーの人は主にドル円を扱っているし、スキャルピングの方が多い印象だ。手法に正解なんてものはないし、手法という概念自体があまり良くないと思う。もっと感覚的なものなのではないかと思った。
同じ手法を使い続けて、永遠に勝てるなんてことはないし相場は常に変化し続けるものである。そこでどれだけ適応できるか、勝ち続けられるのか、が大事なとこである気がする。とりあえず、チャートには張り付けるだけ張り付いて感覚の部分を磨いていきたいと思う。ファンダメンタルも大事だか、まずはチャートを見て、生の相場にいる時間を長くすること、に重点を置いていきたい。
今回の取引はなしです。
来週から頑張っていきます!
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
「本物だと思えるトレーダーの人は主にドル円を扱っている」という見解は、大当たりですね。複数社のFX会社の人によると、安定した成績を残している人の多くはドル円を中心に取引しており、なかにはドル円しか取引しないという人もいるそうです。「ドル円を制すればFXで勝てる」という考えもできますが、節目がわかりやすく、情報量が多く、イレギュャラーな動きが少ないドル円は、個人的にも利益を上げやすい通貨ペアではないかと思います。
スキャルピングに徹するということで、学生の中では圧倒的な取引回数となるでしょう。パフォーマンスを安定させ、資金管理ができるかどうか、お手並み拝借です。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
9月10日現在 108万3080円
福岡県出身。
◆ 体調がすぐれず、取引をお休みしました(早稲田大学 NAKAMURAさん)
2度目のワクチン接種後で、どうにも体調が芳しくないので、お休みさせていただきます。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
9月10日現在 99万1993円
◆ 体調を崩してしまい、お休みさせていただきます。(一橋大学 ボンゴレさん)
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
9月10日現在 124万7420円
神奈川県出身。
◆100万円増額計画 FX大学対抗戦のルール学生投資連合USIC
・元本100万円のデモトレードです。
・通貨ペアはクロス円取引とします。
・レバレッジは25倍を上限(法令に基づく上限)とします。
・取引の過程で資産が「ゼロ」(元本割れ)になった場合は、その時点でリタイアとなります。
・順位は、11月26日時点の運用損益で決めます。
「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
http://usic2008.com/