「ええっ、携帯電話料金がまた安くなるの?」
という驚きの声がネットで上がった。
「ケータイ値下げ」の元締め、菅義偉首相の退陣によって、業界関係者をはじめ多くの人が終了したと思っていたからだ。
そんななか、KDDI(au)が「基本料ゼロ円」なる新料金プランを打ち出した。本当に「ゼロ円」なのか。
「基本料ゼロ円」といってもタダではすまない
KDDI(au)が2021年9月13日に発表したプレスリリース「povo、基本料0円から始まるオールトッピング『povo2.0』を提供開始」(KDDI株式会社)によると、携帯電話のオンライン専用ブランド「povo」(ポヴォ)の料金プランを、9月下旬から大幅に組み替える。
povoは3月末、20GB(ギガバイト)で月額2728円(税込み、以下同)の1プランでスタートしたが、今回は基本料金を「ゼロ円」にし、自分に合ったデータ通信容量などを選んで追加購入する「トッピング」方式を徹底。利用者の選択肢を増やすことによって契約の増加を狙う。
新プランの名称は「povo2.0」。5分間の通話のかけ放題は月550円。上図のように「選べるデータトッピング」として、用意されたトッピングは全部で10種類ある。結局、トッピングしないと使うことは難しく、まったく「ゼロ円」ですむわけではない。いずれもライバル各社のプランを十分意識した設定になっている。以下、ポイントをまとめると――。
(1)たとえばデータ容量が1GBで有効期限が7日間のトッピングでは料金が390円と、これまでの「月額」という概念をなくしたのが特徴だ。
(2)3GBで30日間の有効期限がある990円のトッピングは、3GBで月額990円のソフトバンク系「LINEMO」(ラインモ)に対抗している。
(3)データ容量が60GBで90日間の有効期限がある6490円というトッピングは、1か月に換算すると20Gで2163円ということになる。
これは20GBで2178円の楽天モバイルよりもわずかに安くなる計算だ。
(4)データ容量が150GB で180日間の有効期限の場合は、1万2980円と高い印象を受けるが、1か月に換算すると2163円で25GBも使えることになる。上記の(3)の20Gで2163円よりお得感があるわけだ。つまり、長い期間のトッピングをつけたほうが、1か月あたりの負担額は同じだが、使えるデータ容量が増える。
また、提携するローソン、すき家、はま寿司、ドトールコーヒーなどのコンビニや飲食店を利用すると、データ通信容量をもらえる「#ギガ活」プログラムも新たに始める=上の写真参照。
街の中で隠れた「ギガ」を探したり、オンラインサービスの利用で当たったりするPR企画も展開していく。
「5GBとか10GBとか、もっと刻んでくれたらよかった」
ところで、今回のpovoの「値下げ」発表にはネット上では「意外だ」という声が多い。というのは、たとえば毎日新聞が9月9日付で「携帯『値下げ』終了? 『圧力』の菅首相退陣 総務省幹部『改革道筋できた』 業界関係者『少しは落ち着く』」と報じたように、ネット上では「携帯電話料金の値下げももう終わりか」という声が多くあったからだ。それだけに、ヤフコメではこんな声が上がっている。
「めちゃくちゃ楽天意識しているな。料金ややこしいから勝手に変えてくれる楽天のほうがプランとしてはいいと思う。(電波とかつながりやすさは別)」
「月額で考えれば、最低ラインが990円でしょ。トッピングとかいう言葉を使っているだけで少しも安くない。基本0円って豪語したって、それで使える訳じゃない」
「以前auだったので、AppleCareが切れるのが嫌でpovoにしましたが、20GBは私には多すぎると思っていたところです。でも、3GBの次が20GBなのですね。5GBとか10GBとか、もっと刻んでくれたらよかったのにと思ってしまいます」
「5GBとか10GBとか、単純にそのボリュームゾーンの人に20GB分を払ってほしいのでしょうね。20GはUQのように、繰り越しもさせない。60Gや150Gはおそらく、多くの人が期限までに使い切れず、大量のデータを捨てることになる。すべてにおいてauの思うつぼです。いつものことですが」
「まあ、ほとんど携帯を使わない人、待ち受けだけの人、スマホの使い方がわからないけど、番号維持は必要なお年寄りの人、電話だけ必要な子どもなどには向いていると思う。お年寄りや子どもで、インターネットは使わないけど、電話だけ必要な人だったら、かけ放題5分で、550円で済むようだし。使い方によってはいいんじゃないかな」
(福田和郎)