減らない空き家 負担増す自治体 必要なのは所有者に管理させる手立て(鷲尾香一)

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   国土交通省と総務省は8月25日、2021年3月31日時点の「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)の施行状況等」の調査結果を発表した。2020年度は空家法に基づく措置が6484件に対して実施されていた。

   全国の1741市区町村のうち、空家等対策計画は1332 市区町村(77%)で策定され、法定協議会は907市区町村(52%)に設置されている。

   都道府県の空家等対策計画の策定状況を見ると、石川県、山梨県、岐阜県、滋賀県、和歌山県、徳島県、愛媛県、高知県、大分県の9県で市区町村の100%が策定している。一方、法定協議会は未だに市区町村の100%が設置している都道府県はないが、大分県で94.4%、茨城県で86.4%、福井県で82.4%、徳島県で79.2%、山口県で78.9%が先行して設置が進んでいる。

  • 年々増える空き家に自治体は手を焼いている(写真はイメージ)
    年々増える空き家に自治体は手を焼いている(写真はイメージ)
  • 年々増える空き家に自治体は手を焼いている(写真はイメージ)

年々増える特定空き家の助言・指導、勧告も......

   少子高齢化の進展、地方の過疎化などにより、空き家は急増している。空き家は管理が放置されると、雑草が生い茂るなど景観の問題だけではなく、ゴミの不法投棄場所にされたり、放火の危険性や不法侵入や犯罪現場になる治安上の問題や、家の老朽化に伴う倒壊の危険性などが指摘されている。

   「特定空き家」は空家法上、放置しておくと倒壊の危険性があり、衛生上有害な可能性や景観を損なうなど、周辺の生活環境に著しく悪影響を与える可能性のある状態で調査の上で認定された空き家を指す。

   特定空家の対する助言・指導は。2015年に2173件だったが、年々増加し、2020年には前年度比9.1%増の5849件となっている=表1参照

   都道府県で助言・指導がもっとも多かったのは、新潟県の1262件、次いで北海道の804件、兵庫県の368件となっている。

   一方、助言・指導よりも厳しい勧告は前年度比3.2%増の480件。2015年には54件だったが、20年には約9倍になった=表2参照

   勧告件数がもっとも多い都道府県は大阪府の90件で、次いで千葉県の56件で、新潟県の37件となっている。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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