関西スーパーに「オーケー」への警戒感
一方のオーケーは9月3日の発表で、TOB条件などを踏まえ、「弊社提案の方が企業価値向上に資する」などと主張。10月29日に予定される関西スーパーの臨時株主総会で、H2Oリテイリングの傘下入りの議案に反対する考えを表明した。
議案が撤回・否決された場合はTOBを実施するが、その場合も敵対的TOBは行わず、関西スーパー取締役会の理解を前提に進めるとした。完全子会社化には数百億円が必要になる計算だ。
じつは、今回の争奪戦には前段がある。2016年夏、関西への進出を模索していたオーケーが、関西スーパー株を大量取得したことが明らかになった。資本提携を目指していたとみられるが、協議は進まない一方、関西スーパーはH2Oと同年10月に資本業務提携し、H2Oが筆頭株主になった。
首都圏で120店舗以上を展開するオーケーは創業者の飯田勧会長(セコムを創業した飯田亮氏の兄)が強烈な個性で引っ張ってきた。ムダを排除した店舗づくりで「エブリデー・ロープライス」を標榜し、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「巣ごもり需要」もあって、業績好調という勢いのある企業だ。それだけに、関西スーパー側には、そもそもオーケーへの警戒感が強く、H2Oを「防波堤」にしたとの見方もある。
攻防の焦点は関西スーパーの株主総会。株主がどちらの条件が有利か、将来性があるかを判断することになる。
1株1300円台だった関西スーパーの株価は、オーケーの発表を受けて2100~2200円に跳ね上がっている。H2Oのスキームは複雑だが、3スーパーの統合後に3つのスーパー事業会社を傘下に収める中間持ち株会社が、現在の関西スーパーを引き継ぎ、H2Oを除く今の関西スーパーの約9割の株主は、新たな中間持ち株会社株の42%を保有することになるという。その株価が、オーケーが提案した2250円以上の価値を持ちうるかが焦点になる。
H2Oとの統合実現には出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要。大株主である伊藤忠食品、国分グループ本社などの取引先、さらに保有比率が計約35%にのぼる個人株主の判断が注目される。