大阪府や兵庫県を地盤とする東証1部上場の「関西スーパーマーケット」を巡り、争奪戦が勃発した。
阪急阪神百貨店やイズミヤなどを運営するエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングが、関西スーパーの子会社化で合意したのに対し、関西スーパーの大株主で、首都圏地盤の食品スーパー、オーケーも買収に名乗りを上げたのだ。
その行方は混とんとしているが、背景にはスーパー業界の競争激化があり、再編の動きはこれ以外にも続きそうだ。
H2O、スーパー3社統合なら近畿圏の店舗数首位
花火を打ち上げたのは、H2Oリテイリングだ。2021年8月31日、株式の10.66%を保有する関西スーパーマーケットを子会社にすると発表した。具体的には、H2Oの100%子会社のイズミヤ株と阪急オアシス株との株式交換を通じ、スーパー2社と12月に統合する。関西スーパーは上場を維持し、事業会社としての3スーパーを傘下に持つ中間持ち株会社として存続することになる。それぞれのブランドも維持する一方、物流や商品の調達・開発などでは連携を進めるという。
関西スーパーは64店舗を展開。21年3月期の営業収益(売上高の相当)は1309億円。3社の統合で240店舗、売上高4000億円規模になり、食品スーパーの雄、ライフコーポレーションの近畿圏(店舗数158店、売上高3758億円)を上回る。
H2Oとしては、規模拡大で競争力を高め、コロナ禍で百貨店事業が低迷するなか、スーパー事業を収益の柱として育てたい考えだ。
「関西最強の地域密着型食品スーパー連合をめざしたい」
H2Oの荒木直也社長は8月31日、関西スーパーの福谷耕治社長とともに記者会見し、意気込みを語った。
これに対し、「株主利益の最大化の観点から公正に比較検討いただけたのか」と、3日後の9月3日、異議を唱えたのが関西スーパー株の7.69%を保有する大株主で食品スーパーのオーケーだ。それまで水面下で関西スーパーと統合交渉していたことを公表し、H2Oとの統合に待ったをかけた。
発表によると、オーケーは6月、関西スーパーに対して時価の2倍超で上場来最高値と同じ1株2250円での株式の公開買い付け(TOB)を提案し、経営陣との協議を申し入れた。しかし、「実質的な協議の場」が設けられないまま、今回のH2O傘下入り発表に至ったという。
この間の経緯について関西スーパーは、社外取締役らによる特別委員会を設け、H2Oとオーケーの提案を検討したうえでH2O傘下入りを決めた説明する。特別委では、オーケーとは客層や店舗運営、人事政策に違いがあるなどの懸念が強かったという。