新浪社長「定年という言葉はちょっとまずかった」
こうした新浪氏の主張に、セミナーに参加したほかの経営者も賛同したことを日本テレビニュース(9月12日付)「『45歳定年制』? 進む人材の新陳代謝」が、こう伝える。
「新浪氏の『45歳定年案』については、複数の経営者が賛同を示した。ロッテホールディングスの玉塚元一社長は『同質化した人が同じ成功体験の中のサイロ(編集部注:家畜の飼料などを貯蔵する巨大なタンク。組織やシステムが孤立した状態を指す)にいると、イノベーションが生まれない』と述べ、人材の流動化を支持した。
また、大企業からベンチャーに移るなど、企業の新陳代謝や人材の流動化を促すために、企業間で連携する仕組みをつくるなどのアイデアも披露した。さらに、50代、60代、70代で起業する人が出てこないと社会保障も持たないとして、シニアの起業を後押しする仕組みづくりにも本気で取り組む必要あると語った」
しかし、SNS上の猛批判を受け、翌10日の記者会見で新浪氏の発言はトーンダウンする。読売新聞(9月10日付)「サントリー新浪社長『45歳定年制』発言で炎上...『ちょっとまずかった』」がこう伝える。
「新浪氏は記者会見で『定年という言葉を使ったのは、ちょっとまずかったかもしれない』と釈明。そのうえで『45歳は節目で、自分の人生を考えてみることは重要だ。スタートアップ企業に行こうとか、社会がいろんなオプションを提供できる仕組みを作るべきだ。首切りをするということではまったくない』と述べた」
新浪氏は1981年に三菱商事に入社し、91年ハーバード大学経営大学院でMBA(経営学修士)を取得。2002年、43歳で三菱商事を退職し、ローソン社長に就任した。「スタートアップ企業」ではなかったが、45歳までの「定年退職」は実践したわけだ。
落ち込んだローソンの業績を回復させるためオニギリに力を入れ、ヒット商品を連発。11期連続で営業増益を達成した。2014年からサントリーホールディングス社長に。サントリーでは初の創業家以外からの社長就任となったことで話題になった。