長距離通勤者はオフピーク定期の恩恵を受けられない
ところで、各駅のオフピークの時間帯はどう決めるのだろうか。参考になりそうなのが、JR東日本が今年3月15日から開始した、Suica定期券の時差通勤でポイント付与する「オフピークポイント」制度だ。
これは、平日朝のピーク時間帯前後の時間帯に、対象エリアの駅でSuica通勤定期券を使って入場すると、JR各社の共通ポイントである「JPE POINT」がたまるサービス。全国の駅ビル内のさまざまな店で利用できる。
ポイント還元対象時間帯は駅によって異なり、たとえば東海道線の「平塚」の場合、5時30分~6時30分が早起き時間帯(15ポイント付与)、8時~9時がゆったり時間帯(20ポイント)となる。「横浜」の場合は、6時~7時が早起き時間帯、8時30分~9時30分がゆったり時間帯。それぞれ、その間の時間帯がピーク時(ラッシュ時)というわけだ。
今回のJR東日本の「オフピーク定期券」の導入について、ネットでは多くの疑問の声がある。たとえば「ヤフコメ」にはこんな意見がみられた。まず、基本的な疑問として――。
「これは乗る時間があらかじめ決まっているのか、ICカードで乗った時間で値段がかわるのか、どっちなのだろう。時間帯指定だと、かなり使いにくい気がするけど」
「携帯電話が出始めた頃、データイムしか使えないとかオフタイムと休日しか使えないとかいうプランがあったけど、そのあと、使えない時間帯の通話料2倍のプランになっていましたね。オフタイム定期券は、ピークタイムは定期券としては利用できず、普通運賃がかかるとかにするのかな?」
また、長距離通勤者からはこんな不満の声も聞かれた。
「長距離通勤している人はオフピーク定期だとまったく恩恵を受けられないのだよ。乗車時間の大半がオフピーク時間だというのに、乗車時の早朝をオフピーク時間から外しているからです。恩恵を受けるためには、途中下車してオフピーク時間に再乗車しないといけない。今のスイカポイントでの実証実験がまさにそれ」
また、こんな疑問の声もあった。
「オフピークの定義はラッシュの時間帯を外すと言うことだけで、ラッシュと逆方向の空いている電車でもピークだと高くなるのだろうし、個別計算は無理だろうが、たとえば中央線は快速と各停の混雑率の差が激しく、各停だとラッシュというイメージとはほど遠い。飛行機みたいなダイナミックプライシング(編集部注・AIが需要と供給を予測、混み具合に応じて値段を変動させる)は難しいだろうが、全体的に値上げして、ラッシュにかからない時間に乗り降りした人にポイント付ける今の方法のほうが良い気もします」