米テーパリングの動向に注意したい(慶応義塾大学 2Gさん)
FX大学対抗戦15週目。今週(8月30日週)も結果的に取引しなかった。本当はトレードしたい気持ちが強かったが、想定より忙しくなってしまい、情報収集をすることができなかった。来週は何とか取引をしたいので、今週の流れと今後の動きを整理しておきたい。
◆ 今週の流れ
8月30日週は、ドル売りが優勢だった。前週末のFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の講演では、年内の債券購入ペースの縮小開始見通しが示されたが、QE(量的金融緩和策)と金利は切り離して考えるとしており、市場では利上げ開始が遠のいた印象を与えた。
株高とともにドル安の圧力が強まった。今週は米雇用統計を金曜日に控えて、やや動きにくい1週間だったが、ドル安傾向は継続している。水曜日に発表された米ADP雇用統計が2か月連続で予想から大きく下振れる結果にとどまり、ドル売りを誘発した。株式市場はS&P500やナスダック指数が最高値を更新する場面があり、堅調に推移。ドル安とともに円安の流れも鮮明だった。米雇用統計を控えた金曜日、日本では菅首相が総裁選に立候補せずと報じられ、日経平均先物が買われた。一時円売りに反応したが値幅は限定的だった。
政局が動くなかで、9月26日にはドイツでも総選挙が実施される。来週はECB(欧州中央銀行)理事会とともにユーロ関連の話題となりそうだ。8月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を大きく下回る弱い結果となりドル売りが進行。失業率が予想どおり低下したことや、平均時給が予想外に上昇したこともあり、下げ一巡後はいったん値を戻したが、年内のテーパリング(量的緩和の縮小)開始予定にも修正が入るのではとの思惑もあり、その後再びドル売りが広がったと考えられる。
◆ 今後の動き
米雇用統計明けでいつものとおり材料難だが、米連邦準備制度理事会(FRB)のメンバーである各地区連銀総裁の発言には注目しておくべきだと考える。9月21日~22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて、当局者が金融政策に関して発言できるのはこの週が最後となるので注意したい。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
雇用統計の悪化は、テーパリング(量的緩和の縮小)の後づれを連想させ、株高継続に影響してそうです。
さて、ECB(欧州中央銀行)では予想どおりのパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の債券購入額の減額を発表しました。ただし、これは一時的であるためラガルド総裁は「テーパリングではなく調整」と明言しました。今後の政策はまったく決まっておらず、12月の会合で大きな決定をすると示唆しました。
ラガルド総裁は、2%のインフレ目標を達成するまで、PEPPが終わった後も、欧州各国及びEU(欧州連合)の発行する債券ほぼすべて購入すると発言しています。つまり、テーパリングの時期は極めて遅くなるといえます。これを考えると、ユーロは主要国の中では一番上値が重くなるということになります。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
9月3日現在 111万4000円