英ポンドでしっかり!(明治大学 佐野快斗さん)
◆ 今週の相場(8月31日~9月3日)
今週は31日に月末ロンドンフィクス、カナダ(加)の第2四半期GDP(国内総生産)の発表、1日にオーストラリア(豪)第2四半期GDP、米国ISM製造業景気指数の発表、2日に米国新規失業保険申請件数の発表、3日に雇用統計、ISM非製造業景気指数の発表があった。
月末のロンドンフィクスではあまり大きく値が動くことはなく、8月31日のポンド円の日足では最高値が1ポンド=151.589円、最低値151.062円となった。この1週間では上昇トレンドとなっているものの、日足で見ると下降トレンドの抵抗線に触れるところであり、ポンド円については短期的に下げることを考慮したい。
ロイター通信によれば、カナダ第2四半期GDPは年率換算市場予想のプラス2.5%に反して、マイナス1.1%となった。カナダ銀行がこれを受けて債権の買い入れ縮小計画をどうするのか注目していきたい。31日のカナダドル円21時からの1時間足では、最高値1加ドル=87.316円、最低値86.963円と、先々週(8月16日週)からじわじわと上げていたチャートを大きく崩す形となった。
また、ロイター通信によると、オーストラリアの第2四半期GDPは前期比でプラス0.7%と、第1四半期の伸び率からは低下したものの、市場予想のプラス0.5%を上回って増加した。前年比ではプラス9.6%と、大きく増加した。
順調な経済回復を見せているものの、デルタ株などの懸念は残されており、今月予定のテーパリング(量的緩和の縮小)の判断に注目したい。発表当時はあまり動かなかったが、8月20日の1豪ドル=77.893円を底に、週の終値で81.743円まで上げており、日足の中期の下降トレンド抵抗線を割った形にみえる。
◆ 今週のトレード
・オーストラリアドル円
日足の抵抗線に触った9月1日にショート(売り)で5lotエントリーしたが、損切り。マイナス5000円。これは発表内容をよく考えずにエントリーしたためであり、チャートのトレンドだけでなくオーストラリアの新型コロナウイルスの感染状況や発表内容を考えて慎重になるべきであった。
・ポンド円
9月1日の1ポンド=151.500を超えたところで5lotロング(買い)エントリーし、151.800円で決済。プラス1万5000円。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
英ポンドの取引をされている人が多いので、小ネタを一つ。
9月にイングランド銀行(英中央銀行)の新チーフエコノミストとしてピル氏が就任した。同氏はこれまで英中銀の中でも最もタカ派だったホールデン氏の後任。この人事により、市場関係者は英中銀の金融政策委員会の中で広まっているタカ派な雰囲気が後退するのではないかとの声も出ているようです。もし、ピル氏が緩和路線を唱えるようであれば、ポンドはまだまだ上値が重くなる展開が続きそうです。
なお、同氏は大学卒業後に英中銀で勤務した経験。その後は、ECB(欧州中央銀行)で長年、調査部門の幹部を務め、前職は、ゴールドマン・サックスでチーフ欧州エコノミストを務めたエリートです。
前週からの損益 プラス1万円
9月3日現在 146万4653円