2021年7月21日に、米電気自動車のテスラのCEO(最高経営責任者)、イーロン・マスク氏が、個人的に仮想通貨のイーサリアム(ETH)を保有しているとことを明らかにしました。
当時2万円前後だったイーサリアムですが、その直後から大きく上昇。大規模なアップデートもあり、3万円台後半まで上昇しています。
「ビットコインは知っているけど、イーサリアムはよく知らない......」
という方もまだまだ多いのではないでしょうか。
そこで今回は、今年大きく注目されている「イーサリアム」の今をお伝えします。
イーサリアムはビットコインよりもエコ
●イーサリアムの価格推移
イーロン・マスク氏が率いる米テスラ社は、2021年2月にビットコインでの決済をスタートしたのですが、5月にビットコイン決済を停止しました。
その理由として、ビットコインのネットワーク維持にかかる、大量の電力消費による、環境へのダメージを挙げています。
実際にビットコインの送金に、どれくらいの電力がかかるのかというと......。1回の送金に1710kWh、電気代(2014年4月に公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が発表した新電力料金目安単価/税込)にして4万6170円分の電力を消費しているのです。
一方で、イーサリアムは1回の送金に134kWh、電気代にして3618円とビットコインの1割以下の電力消費となっています。
つまり、ビットコインよりもイーサリアムのほうがエコだという視点で注目が集まっているのです。
では、どうして大量の電力が必要なのか――。このように多くの電力を消費する原因は、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)と呼ばれるネットワークシステムにあります。
PoWは、ネットワーク参加者たちに電力の消費量を競わせることで、安全性を維持しています。また競争が過熱するほど、必要な電力は大きくなります。
現在、ビットコインとイーサリアムはPoWを導入しています。しかしイーサリアムは将来的に、PoSと呼ばれるより電力消費が少ないネットワークシステムへの移行が予定されています。もし、イーサリアムがPoSに移行すると、今よりも9割以上もの電力が削減されると想定されています。
アプリの比較、ブロックチェーンの中で最強
そもそも、イーサリアムでどのようなことができるのでしょうか――。イーサリアムのブロックチェーンでは、送金以外にもさまざまなアプリケーションを動かすことができます。
スマートコントラクトと呼ばれる、プログラムの自動執行機能を活かし、金融やゲーム、業務支援やSNSなど、ブロックチェーンの特性を活かした、多くの種類のアプリケーションがあります。
なかでもイーサリアムのアプリケーションは最も数が多くなっています。集計サイトのDappsRadarでは、下記のように他のブロックチェーンよりもダントツで多くのアプリが登録されています。
1. イーサリアム(ETH):約2400アプリ
2. トロン(TRON):約1300アプリ
3. イオス(EOS) :約570アプリ
イーサリアムはさまざまなWebサービスに応用できるため、エンタープライズ・イーサリアム・アライアンス(通称:EEA)と呼ばれる連合群があります。EEAには、500以上の企業が加盟しており、マイクロソフトやトヨタ、KDDIなど有名企業も多数名を連ねています。
イーサリアムは急激に価格を上げましたが、今後、まだ数年間かけて開発を行っている最中です。
開発が進む中で、イーサリアムの手数料が安くなり、アプリケーションが増えるかもしれません。また、2021年に業界では爆発的に流行しているNFT(非代替性トークン)もイーサリアムネットワークが利用されているため、さらに運用しやすくなるかもしれません。
あと10年も経つと、イーサリアムを使ったサービスが、さまざまなところで使われている未来がきているかもしれません。(ひろぴー)