分科会の医療専門家は医療体制の問題に目を背けた
フードジャーナリストの山路力也氏は、こう指摘した。
「いわゆる『ワクチンパスポート』の運用は慎重にならなければいけません。まず、ワクチンを打たない自由を阻害する可能性があること。次に人の移動が活発になることによる感染拡大の懸念。そして飲食店や宿泊施設など、現場のオペレーションとストレスです。入店時のチェックであったり、ワクチンや検査を受けていない人を断ったり、これらはすべて現場の店員、スタッフが対応することです。物理的、精神的負担が増えることを懸念します。
飲食店経営者に話を聞くと、飲食の時短だけのような緊急事態宣言ではなく、飲食以外も含めて一斉にロックダウンに近い厳しい外出禁止の措置を一定期間とり、一気に感染拡大を抑えたほうがよかったのではという意見も多くありました。そうしていれば、結果として2年近くも中途半端な営業をズルズルとしなくて済み、経済の回復が速かったのではという見立てです。飲食店ばかりが我慢している現状では私も同様に思います」
ほかにも尾身茂会長の「豹変」と、分科会のあり方に疑問を投げかける意見が多かった。
「結局、分科会の20名中14名が医療専門家だというのに、人流人流と言って国民に自粛を強いだけで、最後まで医療体制に手をつけずに、拡充することに努めませんでした。その結果が入院できずに10万人もいる自宅療養者です。この1年半、分科会の医療専門家たちは何か、医師会や医療機関に働きかけをしたでしょうか。尾身さんも医療サイドの人間だから、切り込めなかったのでしょうか」
「尾身さんは日本にはロックダウンのような強い措置が必要だと言っていた。今年中にコロナは収束しないとも言っていた。バッハIOC会長にも辛辣な苦言を呈していた。ワクチン2回打っているのに、なぜ来日するのか、オンラインでいいではないかと。その舌の根も乾かぬうちに、ワクチン2回打った人の行動制限を緩和するロードマップを提言するとは、心変わりしたのだろうか」
「今回の変な分科会の提言の影響で、大阪市は学校によって修学旅行の対応がわかれた。強行する学校の感染対策が、また極端。フェースシールド、マスク、バスの中のお喋り禁止。お土産屋さんも他県の人と出くわさないために1箇所のみとか、やりすぎの対策。バスはマスクに窓開けていればえーよ。ホンマ罪作りやわ、分科会」