「ロックダウン」主張の尾身会長が豹変!? 「行動制限緩和のロードマップ」発表にいったい何が...(2)

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「日本にもロックダウンのような強い行動制限が必要」

と言っていた政府分科会の尾身茂会長が「豹変」した。ワクチン接種をした人が対象とはいえ、人の移動や行動、イベント開催などを緩和するロードマップを発表したのだ。

   政府分科会でも尾身氏の提言に猛反発する医療専門家が多い。いったい、何があったのか。

  • 「ロックダウン」と言っていたのに、「行動制限の緩和」を言い出した政府分科会の尾身茂会長
    「ロックダウン」と言っていたのに、「行動制限の緩和」を言い出した政府分科会の尾身茂会長
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   医療の専門家は、政府分科会の「ロードマップ」を批判する人が多い。国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授(感染症学)は、2021年9月3日のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」の中でこう述べた。

「正直言って、腹立たしい思いです。これだけ感染症が深刻な状況の中で、なぜこういう楽観的な議論ができるのか。しっかり感染者を抑え込んだ状況の中で、次に経済を回すためには、こういうことをしましょうということなら理解できますが、いかにも選挙を意識したような楽観的な内容です」

   全国知事会会長に就任したばかりの平井伸治・鳥取県知事は分科会メンバーとして「ロードマップ」の会議に参加した。9月6日のTBS系情報番組「あさチャン!」の取材に応じ、こう語った。

「ワクチン接種が進んだから大丈夫、みたいな議論は、一番現場はカチンとくるのですね。感染をみんなで抑え込もうとしているときに、水を差さないようにしていただきたい、と申し上げた。(会議では)『ブレークスルー感染が平気で起こっている。ワクチンを2回打った、PCR検査で陰性だった、これでいろいろな行動制限を解いてしまうだけでいいのか』という反対意見もありました」

   インターネット上では、今回の分科会のロードマップについて賛否両論の意見がある。

   トラベルジャーナリストの橋賀秀紀氏は、理解を示した。

「時期の妥当性はともかく、ワクチン接種率が高くなった段階で行動様式をどのようにするのか、今から考えておかなければいけない課題である。観光業や外食産業などへの長期かつ甚大な経済的ダメージを考慮すると、『コロナがおさまるまで』自粛し続けることは難しい。感染リスクが有意に低い接種者に限って行動制限を緩和するのは、合理的な判断といえる。
もちろん、ワクチン接種を体質的にできない人、打ちたくない人に対する最大限の配慮は必要となる。ワクチンが万能でないことは周知の事実だが、8月に前代未聞の感染者数を数えたなか、高齢者の割合がかなり抑えられたことで、ワクチンの効果を実感することにもなった。変異株などの状況でいつでも中止できるような慎重さをもちつつも、経済的に希望が見える施策をのぞみたい」

   エコノミストで経済評論家の門倉貴史氏は疑問を呈した。

「ワクチンの接種が十分に進んだ段階で、行動規制の緩和に舵を切るのは、経済を回復させるうえで望ましい措置といえるが、出口戦略の策定は慎重に行う必要がある。go toトラベルの再開など、やみくもに規制緩和をすれば、感染拡大を助長して、再度の緊急事態宣言発令を余儀なくされ、かえって経済の回復時期を遅らせるリスクがある。
実際、早い段階でワクチン接種が進んだイスラエルでは、今年6月にコロナ関連の規制を撤廃したが、7月からデルタ株が猛威を振るうようになり、現在、新規感染者数・重症者数が急増、過去最多を更新している。早い段階でワクチン接種をしたため、ワクチンの効果が弱まったことが、感染拡大につながった可能性が高く、政策当局は感染対策として3回目のワクチン接種を推進するとともに、再度行動規制を実施している」
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