「補助金と保険金が400万円出る」と屋根の工事をしたが...
【事例6】(訪問販売詐欺)補助金と保険金が受給できると勧誘され屋根工事の契約をしたがウソだった
1年前、屋根修理のためインターネットで検索した工事業者に依頼した。今年になって、 工事業者が予告なく1年保証の点検に訪れ、『新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、国から工事の補助金が出る。また損害保険も受給できるので、補助金と保険金で300万円がもらえる』と言い、約250万円の工事代金を支払っても数十万円が浮く、と屋根を瓦から板金に替える工事を勧めてきた。
父が承諾し、代金を現金で前払いした。契約書面は受け取っていない。足場が組まれ屋根瓦を降ろす作業までいったところで、工事業者から『300万円ではなく400万円戻ることがわかった』と、さらに高額な工事を勧められ、父はそれにも承諾し、400万円が戻ってくるつもりで差額を支払った。しかしその後、工事業者は催促しても作業をしなくなり、また補助金の話も嘘だとわかった。返金を求めたい」(2020年8月、60歳代男性)
【事例7】(送り付け商法)海外から注文した覚えのないマスクが届いた
「昨日、自宅のポストにビニール包装の荷物が届いていた。開封したらマスク20 枚が入っていた。送り主は読めない漢字で書かれており、電話番号は国内の番号が書いてある。私の住所や名前はローマ字で書かれている。私はインターネット通販を利用しないし、一人暮らしなので他に注文する人もいない。請求書は入っていないが処分してもいいのだろうか」(2020年5月、60歳代男性)
特定商取引法が改正され、2021年7月6日以降に注文していないのに一方的に送り付けられた商品は、直ちに処分できることが可能になった。金銭の支払いを請求されても、支払う義務はまったくないので安心して処分しよう。
【事例8】(市場連動型の電気料金トラブル)市場価格連動型の小売電気を契約後、市場価格が高騰し電気代が10 倍に
「去年インターネットを見ていたら、『電気代の見直しをしませんか』という広告が出た。小売電気事業者の比較サイトだった。その中から、市場価格連動型の小売電気事業者を選んで契約した。去年4月に乗り換えてから、夏場は以前よりもかなり安くなったので喜んでいたが、今年の冬は市場価格が高騰し、1KW(キロワット)当たり20円代だったものが、現在は200円を超えている。このままだとどこまで値上がりするかわからないので、解約しようと思い事業者に電話したが、ずっと話し中でつながらない」(2021年1月、70歳代男性)
新しい電力会社が次々にできて、特に市場連動型料金プランのトラブルが増えている。卸電力市場価格が高騰すると、電気料金が高額になる可能性もあるため、本当に新プランが必要かどうか、よく理解したうえで契約しよう。
国民生活センターでは、こう呼びかけている。
「お年寄りの消費者トラブルを防ぐには、家族や周囲の人による見守りも非常に大切です。特に一人暮らしの場合は、定期的に連絡を取ったり、訪問したりすることでトラブルの予防につながります。その際の家の中の様子や、本人の変わった点を注意する内容がこれです」
として、見守りチェックリストを公開した=上図参照。
(福田和郎)