東京株式市場の日経平均株価は、2021年9月3日午後に菅義偉首相が次の自民党総裁選へ出馬しないと表明したことで、新首相の経済対策などへの期待感が広がった。東京都の新型コロナウイルスの感染者数に鈍化傾向が見られることも重なって、株価は上昇した。東京パラリンピックが終幕。いよいよ、舞台は「永田町」に移った。
一方、米国では早期のテーパリング(量的緩和の段階的縮小)観測が後退したことで、リスク選好のドル買いが縮小している。
どうなる!? 今週の株式・為替マーケット!
東京株式市場 上値試す展開に
日経平均株価予想レンジ:2万8500円~2万9500円
2021年9月3日(金)終値 2万9128円11銭
今週の東京株式市場の日経平均株価は、上値を試す展開か。
前週の日経平均株価は、大幅に続伸した。5日間の続伸で上げ幅は1500円近くとなった。3日午後に菅義偉首相が次の自民党総裁選へ出馬しないと表明したことで、新首相の経済対策などへの期待感が相場上昇の要因となった。
今週の日経平均株価は、いったんは上値を試す展開となりそうだ。菅首相の退陣表明により、市場では新首相の経済対策への期待感が高まっている。加えて、東京都の新型コロナウイルス感染者数に鈍化傾向が見られることも相場の上昇要因となっている。
ただ、今後、自民党総裁選の立候補者の具体的な政策が明らかになってくるとともに、期待がしぼむ可能性もある。さらに、日経平均は2週間で2000円近く上昇していることで過熱感も出ている点には注意が必要だ。
東京外国為替市場 ドル買いが縮小
ドル・円予想レンジ:1ドル=109円50銭~110円50銭
2021年9月3日(金)終値 109円73銭
今週の外国為替市場でドル円相場は、引き続き、上値の重い展開か。
前週のドル円相場は、ドルの上値が重い展開だった。8月末のドル需要で実需のドル買いからドルは一時1ドル=110円台半ばまで買われる局面があったが、米国の早期量的緩和の縮小観測が後退したことで、ドル売り・円買いが優勢となり、ドルは1ドル=109円台半ばまで下落した。
今週のドル円相場は、引き続き上値が重い展開となりそうだ。米国の経済指標は好悪が交じり合っており、雇用情勢も改善も鈍化している。
こうした状況が、米国の量的緩和策の早期縮小観測の後退につながっており、リスク選好のドル買いが縮小している。また、米国で再び新型コロナウイルスの感染拡大が起きていることも、ドル上値を抑える要因となっている。
経済指標は、国内では7日に7月の家計調査と景気動向指数、8日に4~6月期GDP(国内総生産)確報値、8月の景気ウォッチャー調査、9日に8月の工作機械受注、10日にメジャーSQなどが予定されている。
海外では、7日に中国の8月の貿易収支、8日に米地区連銀経済報告(ベージュブック)、9日に中国の8月の生産者物価指数と消費者物価指数、ECB(欧州中央銀行)定例理事会などが予定されている。
(鷲尾香一)