介護の世界に広がる「老々介護」
一般労働者(無期雇用職員、月給の者)、管理者の所定内賃金、賞与は、ともに前年より増加した。
一般労働者の所定内賃金は、平均24万3135円と前年度より8696円増加した。管理者の所定内賃金は、平均38万2036円と同2万6611円増加した。また、一般労働者の平均賞与額は62万6094円で2万6588円の増加。管理者の平均賞与額は86万6872円で11万8213 円増加した=図3参照。
介護における65歳以上の労働者の割合12.3%で、職種別では訪問介護員が最も割合が高く、4人に1人が65歳以上だった。次いで看護職員の13.1%、介護職員の9.4%となっている。
60歳以上の介護労働者を合わせると23.8%(前年度22.4%)と全体の2割を超える。平均年齢も年々上昇しており、49.4歳(同48.8歳)に上昇した。60歳以上の介護労働者に比率は、年々増加傾向にある。
定年制度の有無では、「定年制度なし」の事業所が17.7%、「定年制度あり」の事業所が80.6%。「定年制度あり」のうち定年到達後の継続雇用制度導入は、「再雇用制度」が63.7%、「勤務延長制度」が26.1%と約8割の事業所で導入している。
外国籍労働者を受け入れている事業所数は8.6%(同6.6%)で、外国籍労働者の活用が進んでいる。
介護職員は人材不足の状況のなか、採用率が低下している半面、離職率も低下しており、その要因としては賃金の上昇によると考えられる。ただ、介護職員の平均年齢は上昇し、高齢化が進んでいる。加えて、外国籍労働者の活用も進んでいる。
こうした現状は、介護の世界でも老々介護への階段を登っていることを表わしており、その代替要員として外国籍労働者の活用が進んでいるという姿が浮かび上がる。
ただ、この調査が新型コロナによる緊急事態宣言が発令されていない期間での調査だったことは、新型コロナの影響によって、状況が変化している可能性を含んでいる。(鷲尾香一)