今回紹介する一冊は、
・儲けたいが、絶対に損はしたくない
・難しいこと、面倒なこと、数字が苦手
そんな方にオススメの一冊です。
スイスの世界最大手プライベートバンクで欧州型の資産形成を学んだ著者が、定期預金しか知らずに、金融知識が皆無で、面倒くさがりな編集者を相手に、「お金を守りながら増やす」超シンプルなマネー教育を行ないます。
「定期預金しか知りませんが、私、本当にお金持ちになれるんですか? 」(渡邊一慶著)秀和システム
興味深い、著者と編集者の掛け合い
本書の構成は少々変わっています。著者の渡邊一慶さんと、出版社の編集者(丑久保和哉さん)がテンポよく掛け合いをしながら理解を含めていく点です。次のようなお金の正体について明らかにする箇所があります。
編集者から許可を得ておりますので、読者の皆さまにもわかりやすく一部を引用し解説をします。
~ ここから ~
渡邊さん「スイスのプライベートバンクでは、世界中の富裕層の人たちが「資産を守る」ために投資をしています。そして、富裕層の人が、お金とどう向き合い、どのようにして資産形成をしているのかには共通点があります。どのような共通点でしょうか。まずは、そこからお話ししていきましょう」
丑久保さん「でもそれって、もともとお金持ちだった人ではないですか? 僕のような一般人が真似しても無意味なような......」
渡邊さん「いえ、じつはそれも誤解です。たしかに、プライベートバンクのお客様は、起業家や経営者、お医者さんなどが多いです。しかし、彼らは事業の成功のみで財を築いたわけではありません。海外の富裕層というのは「事業の成功+資産運用」で成功者になった人です。富裕層がどのように資産運用をしているのかを学べば、丑久保さんも富裕層の仲間入りができるかもしれません」
丑久保さん「なるほど。事業と一言でいっても千差万別ですから、お金持ちになるには、資産運用のほうがカギになるわけですね」
渡邊さん「そのとおりです。では、なぜ資産運用がカギになるのか、簡単にお話ししましょう。まず、丑久保さんは、お金に価値はあると思いますか?」
丑久保さん「それはもちろんです。お金がなければ生きていけないですし、欲しいものも買えないですからね」
渡邊さん「そうですよね。しかし、じつは、お金自体には何の価値もありません」
丑久保さん「ええっ! どういうことですか?」
渡邊さん「日本には、紙幣と硬貨の2種類のお金がありますね。しかし、紙幣はただの紙切れで、硬貨はただの金属です。事実、1万円の原価はたったの25円です。子どもにお年玉として1万円をあげれば喜びますが、25円をあげたら悲しみますよね」
丑久保さん「たしかに。お年玉で25円なんて、あげるほうもあげるほうですね」
渡邊さん「では、どうして1万円だと喜び、25円だと悲しむのでしょうか?」
丑久保さん「それは、1万円ならゲームソフトが2本くらい買えるけれど、25円ならお菓子もろくに買えないですからね」
渡邊さん「じつは、それがお金の正体です。お金はモノやサービスと交換して、初めて価値があるものになるんです」
~ここまで~
マネー系の難解な解説を紐解いた一冊
マネー系の本は専門性が高く、一般的な人が読んでもわかりにくい場合が少なくありません。しかし、本書は超ど素人でもわかるように解説しています。さらに、「これなら続けられそう」といった視点に立っています。
その結果、お金を堅実に増やしたい、絶対に損したくないという、通常では考えにくいような素人目線で、面白く読めるわかりやすい内容に仕上がっています。投資の経験もお金の知識がないという人でも楽しく読むことができます。
そして、本当のお金持ちとは、贅沢を尽くす人ではなく「お金に困らない人」だということが理解できます。そうなるためにも、お金を増やす知識、お金を守る知識は、誰もが身につけておいたほうがいいでしょう。
お金のことで悩まず、楽しくイキイキした人生を、送りたいものです。(尾藤克之)