「勝ち組」ファストフード業態に乗れ!
コロナ禍で、外食産業は営業時間や酒類提供に制限を課せられる一方、消費者の側も外出を自粛したり在宅勤務が増えたりして行動が変化した。居酒屋やファミリーレストランが大打撃を受けているのは、こうした環境の変化がマイナスに影響したせいだ。
だが、持ち帰りに対応している商品を扱う店舗は消費者の心をつかんだ。在宅時間は伸びたが、いつも自宅で料理を作っていては手間になるからだ。
コロナ禍でも活況な店舗の代表格はケンタッキーフライドチキンで、から揚げ専門店も参入が相次いでいる。コンビニ各社も、セブン-イレブンの揚げ鶏、ななチキ、ファミリーマートのファミチキ、スパイシーチキン、ローソンのLチキレギュラー、Lチキレッドチキンなど、力を入れている。
鶏肉は調達しやすく、揚げる調理は店舗運営として比較的容易である面も売り手にとっては魅力だ。この「鶏肉」と「持ち帰り」を組み合わせた先に導き出された答えの一つがチキンバーガーだったのだ。
日本フードサービス協会がまとめた2021年7月度の外食売上高(全店ベース)によると、業態別ではファミリーレストラン業態が20年同月比6.5%減、コロナ禍前の19年同月比28.8%減、パブ・居酒屋業態は20年比38.5%減、19年比70.0%減と大きく落ち込んでいる。
これに対してファストフード業態は20年比8.6%増、19年比でも3.9%増とプラスを確保しており、こうした業態による大きな違いが各社の戦略を方向付けている。(ジャーナリスト 済田経夫)