外食業界は、どこかが当てた商品に他社が相次いで参入するのが常だ。ここ数年だけでも、タピオカドリンクやパンケーキが記憶に新しい。
長引くコロナ禍で、居酒屋やファミリーレストランの売り上げが大幅に崩れるなか、外食大手が新たに注目した商品がある。揚げたり焼いたりした鶏肉をパンで挟んだチキンバーガーだ。
鳥貴族、焼肉ライク、ロイヤルホスト... 続々オープン
焼き鳥が主力の居酒屋チェーン「鳥貴族」を展開する鳥貴族ホールディングス(HD)は2021年8月23日、チキンバーガー専門店「トリキバーガー」の1号店をオープンした。店の場所は、東京都品川区にありながら下町のような雰囲気で、小さな飲食店が多いJR大井町駅近くだ。店内で飲食できるスペースを設けているほか、持ち帰りも可能だ。
午前10時30分以降に販売する看板メニューは、店の名を冠した「トリキバーガー」だ。約100グラムの鶏の胸の一枚肉を揚げて、レタスやレモンマヨネーズと一緒にパンで挟んだ。他にも鳥貴族らしさをにじませた「焼鳥バーガー」や「つくねチーズバーガー」なども用意。いずれもフライドポテトとドリンクとのセットで590円に設定した。午前10時30分まではモーニングメニューを提供する。
「鳥貴族」で提供する料理と同様に国産食材を使っているのも売りだ。鳥貴族HDは2021年4月までの9か月間の連結最終損益が14億円の赤字に沈んでおり、「トリキバーガー」オープン日に駆け付けた大倉忠司社長は、
「今後は国内外に進出して、世界のトリキバーガーにしていきたい」
と発破をかけた。
チキンバーガー専門店を巡っては、1人焼き肉の「焼肉ライク」を展開するダイニングイノベーショングループが7月、「ドゥーワップ」の1号店を東京都渋谷区の代官山駅近くに開店。ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」のロイヤルHDは5月、「ラッキーロッキーチキン」の1号店を東京都品川区の武蔵小山商店街にオープンさせており、期せずして3社がほぼ同じタイミングで参入した。