「消費者」動向を甘くみていると思わぬしっぺ返しを食う
しかし、コロナ禍になり、大切な家族や友人と過ごしたり、何かを一緒に作ったり育てたりする「時間」こそが贅沢であり、さらに「自分のためにカスタマイズされた商品やサービス」こそがプレミアムな価値であると考えるようになった。
消費者の変化を知らず、「どうせ元に戻るだろう」と甘く考えていると、思わぬしっぺ返しを食うだろう、と書いている。
豊富な事例をよく集めたものだ、と感心した。小祝さんが経営するTNCでは、海外70カ国100地域に長期滞在する600人の日本人女性をリサーチャーとして契約。そのネットワークを駆使して集めたものだという。
事例もアメリカ以外に、中国、デンマークなどに面白いものが多いように感じた。恐竜のジオラマを展示した自然史博物館に宿泊する中国のツアーなど、夜間アクティビティが、地元住民の集客に一役買っているという事例が興味深かった。従来、売り上げがなかった夜間という時間帯を収益化する有効な施策だ。
何よりも、日本人が「巣ごもり」と称して「我慢」している間に、世界は新しいアイデアで乗り切ろうとしていることがわかり、勇気を得た。
(渡辺淳悦)
「アフターコロナのニュービジネス大全」
原田曜平・小祝誉士夫著
ディスカヴァー・トゥエンティワン
1870円(税込)