最終利益の増加は「金融収益」によるもの
平均年間給与が減った理由は、2021年3月期の業績内訳を見るとわかります。
トヨタ自動車の主要事業である「自動車事業」の生産・販売はコロナ禍の影響で落ち込んでおり、営業収益は前期比8.0%減の24兆6515億円、営業利益は同20.2%減の1兆6071億円と大きく減っています。
一方、顧客および販売店に対する融資やリースを提供する「金融事業」は、販売金融子会社で貸倒関連費用等が減少したことなどにより、営業収益は前期比1.4%減の2兆1622億円と微減にとどまり、営業利益は同74.7%増の4955億円と急増しています。
これに加えて、「持分法による投資損益」や「その他の金融収益」といった金融収益が前年比で増加し、為替差損益(純額)も前期のマイナスからプラスに転じるなどしており、これが最終利益の増加につながっています。
つまり、金融事業の増益や金融収益の増加などによって最終利益が増えたものの、自動車事業は減収減益だった、ということです。やはり本業が振るわないことには、給与も上げられないということでしょう。