有価証券報告書などの公開情報を読み解く「会社こたつ記事」。今回は世界最大級の自動車メーカーであるトヨタ自動車を取り上げます。
最新の有価証券報告書(2021年3月期)によると、トヨタ自動車社員の平均年間給与額は858万3267円。前期から7.5万円あまり減っています。
景気の変動に関係なく安定的な給与が得られる印象がありますが、意外と大きく減少することがわかります。
過去には1年で100万円減ったことも
ここで、トヨタ自動車の過去19年分の平均年間給与額の推移を見てみましょう。
2000年代は800万円前後を安定的に推移していましたが、2010年3月期には前期比で100万円超も減少する710万5000円まで落ち込んでいます。
これは、2009年3月期に戦後初となる4610億円の営業赤字に転落したことによるもの。この減額の甲斐もあって、翌2010年3月期には1475億円の営業黒字回復を果たしています。
その後、2018年3月期に前期比2.4%減となったほかは、2020年3月期の865万8711円まで右肩上がりにじわじわ上昇。それがこのたびのコロナ禍の影響で、久しぶりに前期比0.9%の微減となったというわけです。
しかし、2021年3月期決算〔IFRS〕は、営業収益が前期比8.9%減の27兆2155億円、営業利益が同8.4%減の2兆1977億円となったものの、親会社に帰属する当期利益(最終利益)は同10.3%と増えています。
それなのに、なぜ平均年間給与は減ってしまったのでしょうか?