週刊東洋経済で「ユニコーン企業」を探す
「週刊東洋経済」(2021年9月4日号)は「すごいベンチャー100」と題し、ユニコーン(評価額10億ドル以上の未上場企業)になりそうな100社を紹介している。連続起業家、女性起業家、大学発、フィンテックなどのカテゴリー別に100社を分けた。
また、ベンチャー企業への投資熱もまとめている。上半期の話題になったのが、人事労務のSaaS(クラウドで提供するソフトウェア)を手掛けるSmartHR(スマートHR)だ。今年6月に156億円の資金調達を発表、推定企業評価額は約1700億円となり、ユニコーンの仲間入りを果たした。
スマートHRのソフトを使えば、従業員は雇用契約や年末調整などの労務手続きをスマートフォンやパソコンで完結できる。人事労務担当者は集まったデータを役所への電子申請にそのまま使える。利用企業数は4万社を超え、特に従業員1000人以上の大企業の割合は3年前の約17%から40%に拡大した。
このほか、学習塾のAI教材を提供するアタマプラス、建設施工管理アプリを展開するアンドパッド、ウェブサイトやアプリの多言語化作業を効率化するウォーブンテクノロジーズ、iPS細胞による重症心不全の再生医療を開発するハートシードの4社の最新動向を紹介している。
100社の詳細は特集を見てもらいたいが、AI、SaaSを活用した企業が目立つ。ベンチャーへの投資が膨らむ中で、総合商社やコンサルティングなどから優秀な人材が集まり出した背景も探っている。「創業5年、30人程度の規模の会社で、CXO(各部門の最高責任者)級でなくても年収1200~1500万円を用意するケースが生まれている」など、1000万円以上の報酬を提示する企業が出てきたという。
ベンチャーキャピタル大手のDCMベンチャーズ日本代表の本多央輔氏は
「トレンドに左右されない『逆張り』の起業家に賭ける」
と話す。
米中と比べて日本はまだ成長初期と見ており、SaaSばかりが注目されている日本の現状に違和感を持っている。また、海外投資家が日本のベンチャーに大型投資をすることが増えたことについて、評価額がインフレ気味で、次の資金調達までに実態との乖離を埋める必要があり、株主や取締役に誰を入れるかを見極めた方がいい、とアドバイスしている。
ほとんど聞いたことがない100社ばかりだが、この中に次の「ユニコーン」候補が隠れているかもしれない。