日清食品の「カップヌードル」が発売50年を目前に、世界累計販売食数が500億食を達成した。1971年9月18日に誕生した世界初のカップ麺で、50周年の節目の年に大台を突破した。
インスタントラーメンとして「世界ナンバーワン」のカップヌードルは現在、世界約100か国で販売するグローバル商品に成長した。
世界約100か国、120種類以上を販売
カップヌードルは日清食品創業者の故・安藤百福氏が1966年に欧米を視察した際、現地のスタッフがインスタントラーメンの「チキンラーメン」を紙コップに入れて湯を注ぎ、フォークで食べているのを見てアイデアがひらめいたという。
発売直後はインスタントラーメンに比べて高価なため、普及は今一つだった。しかし、1972年2月に起きた「あさま山荘事件」で、機動隊員が湯気の立つカップヌードルを食べている姿がテレビで全国に中継され、一躍有名になった。
カップヌードルが発売から半世紀にわたり、若者を中心に人気なのは、時代の変化に合わせて商品も変化してきたからだろう。
国内では定番のしょうゆ味のほか、カレー味やシーフード味を早くから投入。海外ではこれまでに120種類以上を販売し、「北中米、南米、中国・アジア、欧州のエリアごとに、市場環境や消費者の好みに合わせてブランドを多様化している」という。
2009年には消費者の健康指向の高まりに合わせ、カロリーを抑えた「カップヌードルライト」を発売。その後も塩分や糖質を抑えるなど、時代のニーズに合った商品を開発してきた。容器も当初の発砲スチロールから2008年に紙製カップに変更するなど環境対応も進めている。
国内売り上げは4年連続で過去最高を更新
さらに、カップヌードルといえば忘れていけないのがCMだ。いつの時代も若者をターゲットに話題性を追求してきた。1985年には大友康平氏がボーカルを務める「HOUND DOG(ハウンド・ドッグ)」の「ff (フォルティシモ)」がCMソングとして大ヒット。1992年には原始人がマンモスを追いかけ、「ハングリー ?」と呼び掛けるユニークなCMを放送。1993年にカンヌ国際CMフェスティバルでグランプリを受賞した。
日清食品は自社のCMについて「若者をターゲットとしたユニークなプロモーションを積極的に展開し、常に話題を提供してきた」と振り返る。歴代のCMの多くは大阪府池田市の「安藤百福発明記念館 大阪池田」で視聴することができるという。
一連のCM効果もあり、カップヌードルの日本国内の売上高は2017年度から2020年度まで4年連続で過去最高を更新しているというから、勢いはまったく衰えていない。
日清食品は
「これまでカップヌードルを支えていただいた幅広い世代のお客さまに深く感謝するとともに、これからも100年ブランドを目指し、世界中のみなさまにカップヌードルのおいしさと楽しさをお届けしていきます」
と話している。
日本で生まれ、半世紀を迎えたカップヌードルが、今後の50年でどんな変化を遂げるのか。今後も楽しみだ。(ジャーナリスト 済田経夫)