デルタ株より感染力が強いかも? 海外メディアが「東京株」と報じる「新種デルタ株」が登場!

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   ついに新型コロナウイルスで、国内初の新たなデルタ株の変異が登場した。海外メディアの中には、「東京五輪の開催が『東京株』を生んだ」かのように報じるところもある。

   新種のデルタ株の危険性はまったくわかっていない。しかし、デルタ株そのものの恐ろしさはどんどんわかってきた。従来株より体内に入るウイルスの量が1000倍も多いというのだ。「東京株」の名前が世界に広がる前に抑えることはできるのか。

  • 次々と現れるウイルスの変異とどう戦うか(写真はイメージ)
    次々と現れるウイルスの変異とどう戦うか(写真はイメージ)
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研究者「デルタ株より感染力が増大する可能性はある」

   デルタ株の新たな「新種」が登場したというショックなニュースをNHK(2021年8月30日付)「新たな変異ある『デルタ株』検出 感染力への影響分からず」が、こう伝える。

「新型コロナウイルスの流行の主流となっている感染力の強い変異ウイルス、『デルタ株』について、新たな変異があるウイルスが国内で初めて検出されたと、東京医科歯科大学の武内寛明准教授らグループが発表しました。感染力などに影響があるかどうかはわかっていないということで、グループはさらに解析を進めるとしています」

   8月中旬に大学の附属病院を受診した患者からデルタ株の変異ウイルスを採取し、遺伝子を詳しく調べたところ、デルタ株にみられる「L452R」変異に加え、英国系のアルファ株に似た「N501S」変異などを持っていた。

   この変異は世界で8例しかなく、国内で確認されたのは初めてだ。患者に海外渡航歴はなく、市中感染だった。遺伝子の特徴などから国内で変異した可能性が極めて高いという。グループでは引き続き解析を進める。

   NHKなどによると、オンライン会見に応じた武内准教授は、こう語っていた。

「新たなデルタ株の感染力についてはわかっていませんが、アルファ株やデルタ株よりもさらに増大する可能性は十分に考えられます。感染が広がると国内でも次々と新たな変異株が出る可能性があるので、なんとか感染を抑える必要があります。遺伝子を解析するウイルスの監視体制もさらに拡充しないといけません」

韓国紙「『東京株』登場... 日本は非常事態」と皮肉

   この日本由来の新しい「変異ウイルス」、海外メディアの中にはさっそく「東京株」と名付けるところが現れた。韓国の大手紙、中央日報(8月31日付)が「デルタが変異した『東京株』登場...感染者の爆発で日本『非常事態』」という皮肉たっぷりの見出しで、こう伝えた。

「デルタ株がまた変異した。デルタ株の変異株が日本で初めて確認された。 東京医科歯科大学研究チームが、同大学付属病院で診療受けた患者から採取したデルタ株の遺伝子分析を通じて新たな変異株を発見した。研究チームの武内寛明・准教授は『感染が広がると国内でも次々と新たな変異株が出る可能性があるので、なんとか感染を抑える必要がある』と話した」

と危機感を露わにしたうえで、いかにも東京五輪を開催したことが「東京株」の登場に関係があるかのように、こう結んでいる。

「日本は東京五輪以降、新型コロナウイルスの増加傾向が落ち着かないでいる。8月30日、重症患者は18日連続で最多記録を更新している。30日には1万3638人の感染者が新たに報告された。重症感染者は2075人に達する」
海外メディアが「東京株」と報じる(写真は東京の街)
海外メディアが「東京株」と報じる(写真は東京の街)

   東京五輪開催によって多くの外国人が訪れて「ウイルスのカクテル化」が進み、「新型デルタ株」が登場したのかどうかは不明だが、最近、デルタ株の恐ろしさがますます明らかになってきた。

   毎日新聞(8月28日付)「デルタ株『感染力最強』 高い細胞への結合力、体内増殖従来の1000倍」が、その怖さをこう伝える。

「『これまで知られた中で、最も感染力の強いウイルスの一つだ』。米疾病対策センター(CDC)のワレンスキ所長は米CNNのインタビューで、デルタ株は新型コロナ以外のウイルスと比較しても、かつてない強い感染力を持つと危機感をあらわにした。
デルタ株はなぜそれほど感染力が強いのか。多くの専門家が着目するのが『L452R』という変異だ。感染する際に、人の細胞表面の受容体に取りつく突起状の『スパイクたんぱく質』にこの変異が生じたことで、細胞への結合力が強まったとみられる。
米国の研究チームが今年6月に発表した論文によると、L452Rの変異があるスパイクたんぱく質と受容体との結合力を実験で確認したところ、『受容体との親和性が従来の2倍高まる可能性がある』との結果が出た。デルタ株は重症化リスクも高めている可能性がある。以前は重症化しづらかった40代や50代の入院患者が目立つようになった」

ウイルス量が1000倍、しかも細胞にくっつきやすい

医療のひっ迫で搬送先にも困る救急車
医療のひっ迫で搬送先にも困る救急車

   確かに現在、40代や50代の入院患者どころか、20代~30代でも短期間で重症化。なかには亡くなるケースが続出している。千葉県内でも8月18日、一人で自宅療養中の20代男性の死亡が確認された。男性は40度の発熱があり、陽性を確認したが、受診した医療機関が軽症と判断、「入院の必要なし」とされた。保健所が一度も直接連絡を取らないまま、2日後に急速に容体が悪化したらしい。「連絡が取れない」という家族からの通報で救急隊が駆け付け、死亡しているのが見つかった。

   20代の死亡は千葉県だけでも2人目で、全国的に珍しいことではなくなった。このようになぜ若い世代でも急速に悪化するのか。毎日新聞が続ける。

「デルタ株のスパイクたんぱく質にはL452R以外にも複数の変異がある。東京大医科学研究所などの研究チームはそのうちの一つ、681番目のアミノ酸がプロリン(P)からアルギニン(R)に変異した『P681R』に注目。(この変異は)感染した細胞は周囲の正常な細胞と融合し損傷させやすくなり、損傷した細胞の範囲は従来株の平均の2.7倍に広がった。また、このウイルスをハムスターに感染させたところ、従来株より体重が減少し、肺機能が低下することも判明した。
佐藤佳・東大医科研准教授は『変異によって細胞膜と融合する能力が上がったため、感染細胞が周りの細胞とくっつきやすくなった。ウイルスが体内に広がりやすく重症化につながっていると考えられる』と話す。実際、中国の研究グループは7月、患者の体内のウイルス量をPCR検査で調べた結果、デルタ株の感染者の体内のウイルス量が従来のウイルスに比べ平均1000倍以上で、増殖スピードも速かったとする研究論文を公表した。体内のウイルス量の増加が重症化と関係している可能性がある」

   この従来株より「1000倍もウイルスの量が多い」という衝撃的な研究が発表されると、テレビ番組でも取り上げられた。TBS系の「サンデーモーニング」(8月29日付)では、司会の関口宏さんが驚きを隠せず「これはホントですか?」と、元国立感染症研究所主任研究官の小坂健氏に聞くと、こう答えた。

「やっぱりデルタ株は従来の株より増殖が早いし、ウイルス量も多いと言われている。そうすると、今までは感染しなかった場合でも、1000倍以上のウイルスを持っているとあっという間にうつってしまう。
今までうつらなかったような人でもうつることがありうるわけです。デルタ株、特に夏の対策としてはワクチンとマスクと換気の3つが柱になる。夏はエアコンでほとんど換気がされない。暖房と違って風が下に落ちてくるので、より感染しやすい。やっぱり換気できちんと回してあげることが非常に大事になります」

と、部屋の換気の重要性を訴えていた。

(福田和郎)

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