米アップル社、クックCEO「825億円のボーナス、全額寄付します」!? 日本企業トップに見習わせたいが...

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政府報告書「日本企業トップにも高額報酬をすべき」

   西村康稔経済再生担当大臣のブレーンたちの集まりである「企業組織の変革に関する研究会」が2021年8月11日に発表した報告書「プライム市場時代の新しい企業組織の創出に向けて ~生え抜き主義からダイバーシティ登用主義への変革~」が、それだ。研究会メンバーは、米良はるかREADYFOR(レディーフォー)社長(33)、小泉文明メルカリ会長(41)、間下直晃ブイキューブ社長(44)ら若手経営者ら6人。

   報告書によると、日本企業の失敗事例のほとんどは経営者の「無能力」が原因。日本の経営者は圧倒的に生え抜きの「ジイサン」が多く、多様性に乏しい。外国から優秀な「プロ経営者」を呼び込まないと、お先真っ暗だという。そのためには、「経営者の労働市場を活性化することが必要」で、成果をあげれば高額の年収を約束する「インセンティブ報酬制度」を導入すべきだと訴えている。

   たとえば、日本・米国・英国・ドイツ・フランスの経営トップの報酬を比較した図表がある。各国の売上が1兆円以上あるビッグ企業を比べたグラフだが、日本企業トップの平均報酬は1.2億円と一番低く、米国の15.8億円の13分の1だ。しかも、報酬に対する「固定費」の割合が6割を占める。これでは、いくら成果をあげても報酬はあまり増えない。

日本の経営トップと米国などのトップとの報酬の違い(デロイトトーマツ調査。内閣官房の公式サイトより)
日本の経営トップと米国などのトップとの報酬の違い(デロイトトーマツ調査。内閣官房の公式サイトより)

   一方、米国では「固定費」は1割以下だ。業績をアップさせたり、株式の時価総額をあげたりすると報酬額をいくら上げるといった、様々な「短期インセンティブ」と「中長期インセンティブ」の割合が9割を超えている。

   成果をあげればあげるほど報酬が増えるシステムで、経営者の「やる気」を引き出すためだ。ただし、インセンティブ報酬制度には、経営者が成果をあげようと短期的な目標ばかりに目が行く欠点もある。

   そこで、報告書ではこう提案している。

(1)単年度主義ではなく、長期の業績との関係をしっかり見る。そのためには経営者の情報をすべてオープンに開示する。そして、成果をあげられない経営者はすぐに2~3年で退場させ、成果をあげている経営者には10年以上続けてもらってもよい。
(2)本人の努力による業績向上か、それ以外の要因によるものか、業績を客観的に把握する指標や数式をつくる。
(3)たとえば、株価がいくら増加したかではなく、同業他社と比較してどれだけ増加したかなど、客観的に比較・検証できる評価制度が必要だ。

   そういえば、ティム・クックGEOが、故スティーブ・ジョブズ氏と10年前に約束した「ボーナス」の条件は、「S&P500株の株価指数で、3分の2以上の構成企業の株価を上回る」ことだった。短期インセンティブと中長期インセンティブの両方の条件を見事にクリアしたわけである。

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