韓国紙「開発は日本だが、輸出の利益は韓国に」
一方、韓国紙では「対日本の果物戦争」に関しては勝利宣言の論調が目立つ。たとえば、中央日報(2021年5月28日付)「日本が開発したが...韓国産シャインマスカットが中国・ベトナムで人気」が、こう報じている。
「韓国産シャインマスカットが中国やベトナムで人気だ。韓国の農林畜産食品部(編集部注・日本の農林水産省にあたる)は5月27日、昨年のブドウ輸出額が3100万ドル(34億1000万円)で過去最高になったと伝えた。2016年の輸出額は500万ドル(5億5000万円)だったが、4年間で輸出額が6倍に増えた。農食品部の関係者は「全体のブドウ輸出額の88.7%がシャインマスカットだが、ベトナムと中国で爆発的な人気となっている」
「シャインマスカットは日本の農研機構が30年間かけて品種を開発した後、2006年に日本で品種登録した。農研機構は国内での販売だけを考えて海外輸出を念頭に置かず、韓国で品種登録をしなかった。そのため、韓国の農家は日本にロイヤルティーを支払わずシャインマスカットを栽培できることになった」
そのうえで、「韓国は独自の技術で工夫を重ねた」と、中央日報は誇らしげに続けるのだ。
「さらに韓国のブドウ長期保存技術が加わった。韓国はブドウの長期保存技術を開発し、ブドウの供給が減る時期にも流通させることに成功、これまでより高い価格で売れることになった。一般のブドウは保管期間が通常1か月だが、シャインマスカットは通常3か月まで保管できる。農業技術院が開発した保存技術は、坑菌機能がある亜硫酸ガスを発生させる鮮度維持剤を入れ、ラップで包装した後0度近くで保存して水分の蒸発を防ぎ、新鮮度を維持する。
農食品部のノ・スヒョン食品産業政策官は『2016年には500万ドルだったブドウ輸出が、昨年6倍に増えた背景には、長期保存技術の開発のほか、品質管理、マーケティングがある。今後も韓国産シャインマスカットの輸出拡大のため支援策を発掘する計画』と明らかにした」
日韓の「高級フルーツ戦争」は日本側の完敗に近い状況が続きそうだ。
(福田和郎)