「5代目Z」は日産V字復活の象徴だったが......
特に日本におけるフェアレディZは日産のイメージを代表する存在だ。Zと並ぶGT-Rも同様だが、こうしたスポーツカーは開発費や生産コストがかかり、人気があっても販売台数は限られるため、ビジネスとして成り立たせるのは簡単ではない。
実際、Zの場合、日産が経営不振に陥り、ルノーから乗り込んできたカルロス・ゴーン社長(当時)がコストカットの一環として2000年に4代目の生産を終了し、絶版となった。
その後、経営がV字回復したことから、2002年に5代目が復活した経緯がある。5代目Zは「日産復活」の象徴と言われた。
今回はどうか――。日産は目下、内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)の号令の下、「ニッサン・ネクスト」と称する構造改革計画を進めていて、生産能力2割削減して年間540万台体制とし、販売車種も23年度までに2割削減して競争力のある車種に絞り込むという課題に取り組んでいる。環境規制強化の流れのなか、電動(EV)化も待ったなしだ。
そんな状況の中で、今回、日産がガソリンエンジンだけの新型Zを発売するというのは、クルマ好きの心をくすぐるもので、ある種の英断といえる。
今のところ、発表を受けた自動車ジャーナリズムの評価も上々の7代目Z。「社内にも刺激を与え、士気は上がっている」(日産関係者)といい、20年前の5代目同様、日産復活の象徴にとの期待を集める。
ただ、J-CAST会社ウォッチ「海外の新車販売が好調、日産が3年ぶりに黒字転換も『楽観視』できず...... 不安材料少なくなく」(2021年8月11日付)でも書いたように、黒字転換の見通しとなったとはいえ、経営上の課題は山積している。ニューZの成否は、業績が着実に回復するかにかかっているのは、言うまでもない。(ジャーナリスト 済田経夫)