対抗する楽天ペイ、新たな中小加盟店の手数料を1年間無料
最大手となったペイペイが、約束の3年の無料期間を終え、中小事業者の手数料も有料化して収益を改善しようとするのは、当然の流れだ。ただ、それだけでは激しい競争を勝ち抜ける保証はない。そこで、利用者に対してはペイペイのアプリで決済に絡むさまざまなサービスを展開する「スーパーアプリ」化を図る。
すでにインターネット商店街「PayPayモール」やフードデリバリーの「UberEats」の注文・決済をペイペイのアプリからできるほか、お金を借りたり、PCR検査キットを購入したりすることも可能だ。
それだけではない。スーパーアプリ化の布石として、ソフトバンク系の金融事業会社は名称をPayPayブランドへの統一を進めており、ジャパンネット銀行はPayPay銀行、ネット証券のOne Tap BUYはPayPay証券に社名を変更した。ペイペイに多額の先行投資を続けてきたのは、それが単なる決済アプリではなく、生活に関わるさまざまなサービスを提供する拠点として定着させ、リアルからバーチャルに移行している需要を囲い込む戦略があるからに他ならない。
携帯電話大手系以外のスマホ決済サービスは長引く消耗戦で体力を奪われ、LINE PayはペイペイとQRコード決済を統合し、メルペイはd払いと連携を強めている。ペイペイの牙城を崩そうとする動きもあり、楽天グループが展開する楽天ペイは、ペイペイの手数料有料化のスキを突く形で、新たに加盟する中小店舗を対象に決済手数料を2021年10月から1年間実質無料にすると発表した。
QRコード決済の熾烈な競争は、この秋、次のステージに移ることになる。(ジャーナリスト 済田経夫)