年収500万円の夫から「働いてくれ」と頼まれた女性、「専業主婦を続けたい」は「贅沢」なのか? 専門家に聞いた

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「専業主婦になりたいと堂々と主張してもよい」

   会社ウォッチ編集部では、今回の「夫の年収が500万円で専業主婦を続けるべきか」に悩む投稿について、女性の働き方に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに意見を求めた。

   ――今回の投稿と回答者たちの投稿を読み、率直にどのような感想を持ちましたか。

   川上敬太郎さん「専業主婦になるか共働きするかは、ご家庭によって違ってよいのだと思います。投稿者さんが、専業主婦でありたいと願うことは意志として当然に尊重されるべきです。ただ、投稿内容を見る限りでは、ほとんどが投稿者さん自身の立場や目線からの記述になっていて、夫側の立場に立った言葉が見当たらなかったことがとても気になりました。

   回答者さんたちからのコメントは厳しいものが多いようですが、投稿内容を見て、投稿者さんのわがままだと感じた人が多かったのではないでしょうか」

   ――投稿者は、もともと専業主婦志向が強かったようですが、じつは追加の投稿で、「OL時代に職場の上司や同僚とうまくいかず、働くことがトラウマになった」とも書いています。

   回答者の中には「今の時代、専業主婦はあり得ない」と共働きが当然とする意見が多くありました。論争の背景に「専業主婦問題」があると思いますが、専業主婦はもう「時代遅れ」の存在なのでしょうか。

   川上さん「社会全体では、共働き世帯の数が専業主婦世帯の2倍を超えています。しかし、数が少ないからといって専業主婦であることがダメな理由にはなりませんし、時代遅れでもありません。ご夫婦ごとに最適な形が異なるだけです。

   私が研究顧問を務める、働く主婦層の実情を探る調査機関『しゅふJOB総研』で、専業主婦であることの後ろめたさや罪悪感をテーマに調査を行ったことがあります(「専業主婦であることに、後ろめたさや罪悪感はあるか?」)。調査では、専業主婦層の過半数が『後ろめたさや罪悪感のようなものを覚えたことがある』と回答しました。調査の際、専業主婦層の実情にスポットを当ててくれたという声もあれば、専業主婦であることに後ろめたさを感じる必要などあるわけないのに、こんな質問自体が失礼だという声もありました。

   専業主婦世帯が少なくなるなか、専業主婦であることを後ろめたく感じてしまい、その感情を表に出せずに苦しんでいる人がいます。一方で、専業主婦になりたいことを堂々と主張できる人もいます。投稿者さんは、後者に入ると思います。

   改めて言いますが、専業主婦になるか否かは、そのご家庭ごとに最適な形を選択すればよいのであって、他人がとやかく言うことではありません。一方で、自身が専業主婦であることに対する感じ方は人それぞれです。専業主婦であることに後ろめたさを感じてしまう人には耳を傾け、堂々と主張できる人についてはその意志を尊重するべきなのだと思います」

飲食店なんかのパートで働くのはイヤです(写真はイメージ)
飲食店なんかのパートで働くのはイヤです(写真はイメージ)

   ――なるほど。しかし、「専業主婦なのに夫に家事育児の協力を求めるのはNGだ」「そういう態度がブーメランとして返ってきた」という批判が多かったです。専業主婦が夫に家事協力を求めてはいけないのでしょうか。

   川上さん「専業主婦であっても家事育児は大変です。また、育てるのに手がかかる子もいれば、そうでない子もいます。夫に協力を求めることも含め、それぞれの夫婦ごとに最適な形は異なります。

   一方、投稿者さんは夫を自分の思い通りの方向に導こうとして友人宅に連れていき、逆に夫から想定外の要求をされるようになりました。そのこと自体はまさにブーメランと言えると思います」

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