ワクチンに慎重だった免疫学者が考えを変えたワケ【新型コロナウイルスを知る一冊】

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「嫌ワクチン本」の誤り

   さて、新型コロナワクチンが有効だということになると、これを否定してきた「嫌ワクチン」派の学者は何を言ってるんだ、ということになる。本書は2つの章を使い、テレビのコメンテーターとして登場してきた学者、「嫌ワクチン本」を書いた学者らの科学的な誤りを具体的に批判している。

   その一人、「患者よ、がんと闘うな」などで知られる、元慶応義塾大学医学部専任講師の近藤誠氏の「こわいほどよくわかる 新型コロナとワクチンのひみつ」(ビジネス社)について、「ワクチンの予防効果に関する最新のデータが収録されていないうえ、なおかつその解釈は非常に恣意的に感じられました」と、批判している。また、ワクチン接種後の死亡はすべてワクチンが原因と決めつける近藤氏の解釈にも疑問があるという。

   新型コロナウイルスに関連する多くの本を紹介してきたが、本書が最新のデータに基づき、それらの出所も明らかにしているという点で信頼できる。

   テレビによく出ている医師や学者も名前を挙げて批判している。彼らが登場する日本のメディアの科学リテラシーは「残念ながら総じて低い」とも。現時点で、最も信頼できる「コロナ関連本」の一つである。(渡辺淳悦)

「新型コロナワクチン本当の『真実』」
宮坂昌之著
講談社
990円(税別)

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