デルタ株にもワクチンは有効か?
いま一番関心が持たれている「インド型変異株(デルタ株)にもワクチンは有効か」という問題にも答えている。英国公衆衛生庁が発表したデータや英国の研究グループが医学誌「Lancet」に発表した論文をもとに、ファイザー製ワクチンの2回接種により、インド型を含む種々の変異株に十分対応が可能であることが示唆されているという。そして、こう呼びかけている。
「変異株は抗体が効きにくいからワクチンが効かないかもしれないという単純な議論は終わりにしましょう」
それでも新型コロナワクチンに危険性はないのか? と心配する人もいるだろう。現時点では発生していない未知のリスクだ。その可能性は非常に低いという。
理由の1つは、mRNAワクチンに使われるmRNAは体内で増えず、投与後、1日半ぐらいの寿命しかなく、いずれ完全に分解されるからだ。そもそもmRNAワクチンに含まれるのはウイルスの遺伝情報のごく一部にすぎず、それだけでは病原性や感染性を発揮することもない。
また、mRNAワクチンの遺伝子からDNAが合成されることはないので、長期的に影響を受けることもないという。
アストラゼネカ製のウイルスベクターワクチンについても原理を説明し、問題はないことを詳しく説明している。
副反応など心配な点についても詳しく解説した上で、ワクチン接種を見直すほどの「重大な懸念」は発生していないと判断している。6月25日に厚労省は、ワクチン接種を受けた約2500万人のうち、これまでに356人の死亡を確認したと公表したが、この死亡例は「副反応による死亡例」ではなく、「有害事象」だと説明する。
因果関係のはっきりしない「灰色判定」の大半は、ワクチン接種と関係のない偶発的な事象がかなりの割合を占めると、宮坂さんは見ている。