コロナ禍後の世界、日本は米中の狭間でどう生きるのか?【新型コロナウイルスを知る一冊】

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PCR検査数が少なさに日本的破局の有り様

   さらに歴史的な観点も導入している。大恐慌後に国家と社会の構造的な転換があったことを挙げ、コロナ禍によって、国と社会のありようが4つの類型に分類できると整理している。

A「強い国家」と「弱い社会」(独裁政権等の専制国家)中国が進もうとしている。
B「弱い国家」と「強い社会」(成熟した民主主義国家)
C 「強い国家」と「強い社会」(社会が国家を信頼し、非常時などに私権の制限を許容する)
D「弱い国家」と「弱い社会」(社会が国家を信頼できず、また国家も社会を統制できない)

   ドイツは本来、Bであったが、コロナ禍では一時的にCになったと説明し、日本はDになっていると危惧している。コロナ禍を生き抜くには、当然、Cであるべきだ、と姜さんは指摘する。

   こうした問題意識で、2013年からの安倍政権、アメリカ、中国、「新冷戦」時代の中国、日本の生きる道を論じている。内田さんのコロナ関連の発言をいくつか拾ってみよう。

内田 「アメリカはもう中国に製造業のアウトソーシングをするのは止めるでしょうね。今回のコロナ禍でも、マスクや防護服などの医療資源の多くの製造を中国に頼っていたせいで、いざというときアメリカ国内に感染症のための医療資源の戦略的備蓄がほとんどなかった。薬品や医療品のような戦略的物資は、これからは割高でも国産にシフトすると思います」
内田 「2020年の3月に米海軍の空母セオドア・ルーズベルト号でコロナ感染者が出て、同空母は作戦行動を中止してグアムに投錨しました。そのことで、狭いところに人が密集する艦船、全員が斉一的な行動をとる軍隊、乗員が同じ空気を吸う潜水艦などは感染症にたいへん弱いことがわかった。ということは空母や原潜を駆使する軍事行動は感染症が収まるまではしばらく抑制せざるを得ないということなんです。(中略)だから、アメリカは今テクノロジーの進化がゲーム・チェンジャーになるのを待っているんだと思います」
内田 「日本のPCR検査数が少ないのは、一貫した戦略があってのことじゃないと思います。たぶん去年の初めのうちは夏にオリンピックをやるつもりだったから、感染者数を増やしたくなかった。感染しても無症状で終わる人が多いらしいから、検査さえしなければ感染者数は低く抑えられるという計算が政府にはあったと思います」
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